恋涙〜賢者の石〜
□お買い物 T
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ハリーは首を傾げるが、リドルは耳まで赤くなっている。どうしたんだろう?ハリーは更に首を傾げた。
「あー…二人とも」
ハグリッドが咳をしながら二人を見た。リドルはハリーを傍らに座らせると首を傾げる。
「なに?ハグリッド」
「ホグワーツでは、バラさんでくれるか?」
目配せをするハグリッドにリドルとハリーは同時に首を縦に振った。二人は魔法が見たくてウズウズした。ハグリッドがそんな二人に満足そうに頷くとまたしてもピンクの傘を取り出すと船べりを傘で二回叩いた。すると船は滑るように岸に向かった。
「これ良い!!揺れないから酔わない!!」
「…ハリー、他に観想はないの?」
「ない!!」
ハリーがキャッキャッ☆とはしゃぐ姿を見つめると眩しそうに目を細めた。可愛いなぁ…
「グリンゴッツってそんなに安全なんだ」
「まぁな、彼処は小鬼が守っとるからな」
「「小鬼?」」
リドルが何気なしに始めた会話に聞き覚えのない単語を耳にしたハリーがはしゃぐのをやめて会話に参加した。曰く、小鬼といざこざを起こすのは面倒だの銀行強盗は狂気の沙汰だの呪いをかけられていることや地下鉄よりも深い場所に金庫があると話してくれた。
「なるほどね。欲しいものを手にいれてもそれじゃあ迷って出られない。餓死するのが関の山ってわけだ」
「なるほど…」
ハリーは水面に手を入れてみた。ひんやりとした温度が気持ち良かった。そして何気なしにリドルを見つめた。
リドルは何かを思案気に考えているようだった。真剣な眼差しが宙を見つめている。
(…かっこいいな…きっとホグワーツに行っても、リドルはモテるんだろうな…)
キラキラと、反射する水面がリドルの深紅の瞳を美しく輝かせた。リドルは…ホグワーツに行っても僕の傍にいてくれるかな。僕を傍にいさせてくれるかな…?
もしもリドル好みの可愛い子がいたら、きっと僕に構ってくれなくなるよね…
「…ハリー?」
「…ちょっと、よったみたい」
「大丈夫?」
「…うん。でも、こうさせて?」
ハリーはリドルに甘えるように腕を抱き締めた。リドルは空いている手でハリーの頭を何度も何度も優しく撫でた。
「…ハリー」
「…なに?」
「僕には…ハリーだけだよ」
「?!」
「何処にもいかないよ」
リドルの深紅の瞳を見つめながらハリーが花のように優しく微笑んで目を閉じた。図上でリドルがハグリッドと会話をし始める。
内容は魔法省についての話だった。その話が終わると丁度船が岸に着いた。ハリーは同じようにリドルに手を引かれて船を降りた。
「ねぇ、ハグリッド。グリンゴッツにはドラゴンがいるって言ったね?」
「あぁ、そう言われとる。俺はドラゴンが欲しい。いやまったく…」
「「欲しい?」」
「ガキの頃からな」
そんな話をしながら、三人はいつの間にか駅に着いていた。ハグリッドが渡した紙幣を受け取ったリドルは三人分の切符を買った。電車に乗るとハグリッドはハリーを見た。
「ハリー、手紙を持ってるか?」
「…リドルが持ってる」
「ハリー?どうした、顔が真っ青だぞ?」
「気にしないで、ハグリッド。ハリーは乗り物に酔いやすいんだ。手紙なら此処にあるけど?」
「そうか…その手紙の中に必要なリストがある。読んでみろ」
リドルは言われた通りに二枚目に目を通した。
「これ、全部ロンドンにあるの?!」
思わず声をあげるリドルにハリーが方眉を上げながら手紙をさらっと流し読みして固まった。声には出さずとも、どうやらリドルと同じことを思ったらしい。
「何処にあるのかを知ってさえいればな」
固まる二人にハグリッドはお茶目に笑った。
駅から出たリドルはハリーと手を繋ぎながら一緒に小走りになってハグリッドを追い掛けた。ハグリッドが大きすぎる為に小走りにならなければついていけないのだ。
しかし、本当に杖や鍋やら魔法の箒を売る店がロンドンにあるのだろうか?そんな疑問すら浮かぶほど建ち並ぶ店々はありふれたものだった。
「…あ!!」
「ハリー?」
「Kin●の特集してるっ!!/////」
「…ハリー、急がないと追い付かないよ」
「…う、うん」
「にょー?!Kin●の特集してるー?!ママ、ちょっと寄ってこう?」
「…ケリー、今は急いでるの。お婆ちゃんに送ってもらえばいいでしょう」
「…ちっ、ケチ婆」
「なんか言った?」
ハリーは東洋女性とその娘を尻目に見ながらハグリッドの後を追った。彼女もKin●が好きなようだ。もし逢えたら是非とも語り合いたい、どっち派なのかを。
「此処だ。『漏れ鍋』と言ってな、俺達にゃあ有名な店だ」
ハグリッドが立ち止まったのはちっぽけな薄汚れたパブだった。ぶっちゃけハグリッドが言わなければ見落としていたかもしれない。ハリーはそう思ってリドルを見上げた。
「…リドル?」
「?!…なんだい?ハリー」
「…どうかした?」