恋涙〜賢者の石〜


□手紙
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「…まだ、いいや。今はそんな気分じゃないから」
「そう?」
「うん」

 リドルは手紙をしまった。するとバーノンに扉を開けられた。何やら無理矢理顔に笑顔をはっつけている。
 リドルとハリーは訝しげにバーノンを見ていた。話によると今からハリーとリドルは二階にあるダドリーのもう一つの部屋――…と言う名のガラクタ部屋に引っ越すらしい。確かにあんなピンポイントで手紙が届けば世間体を気にするバーノン達が意識しない訳がない。二人は元々少ない荷物を纏めて二階へと上がった。

「…掃除しなきゃ」
「…だね」

 ポツリとぼやいたハリーにリドルは溜め息を混ぜながら同意する。ダドリーのもう一つの部屋は、単純に今のダドリーの部屋に納まりきれなくなった玩具や壊れた玩具をしまう部屋で…かろうじて机とランプとベッドとクローゼットはあるがそれだけだ。あとは床一面に玩具が散乱している。

「あ、壊れた目覚まし時計発見」
「んー…ハリー、ちょっと見せて。直せるかもしれないから」
「ホントに?」
「多分ね」

 ハリーが手にしている目覚まし時計を受け取ったリドルは机に座るとドライバーを手にして目覚まし時計の解体を始めた。

 ハリーは一瞬「…なんでドライバーなんか持ち歩いてるんだろう」と思ったが考えるのは辞めて部屋を片付け始めた。なにやら部屋の外でダドリーが喚いているが、知らんこっちゃない。
 黙々と解体して交換するパーツを他の玩具から補充しながら時計を直すリドルと、テキパキと部屋を整理・掃除・模様替えを行うハリーに暫く分かれたがリドルの「出来た」という声でハリーはセミダブルのベッドのマットを綺麗にしていた手を止めた。リドルの手にはカチコチと動く時計がある。ハリーは目を輝かせてリドルを見つめた。

「リドル凄いよ!!ホントに直しちゃった!!」
「フフ♪ハリーの為なら僕は何でもできるよ♪」

 ハリーの無邪気な笑顔にリドルは胸が満たされていくのを感じた。

「あとね、ハリー。少し早いけどこれは誕生日プレゼント♪」
「…ウォークマン?」
「車に酔いやすい人は音楽を聞きながら唄うといいらしいよ。クラスメイトから去年聞いて、絶対にコレにしようって決めたんだ♪で、明日辺りにCD買いに行かない?ハリーの好みが何か知りたいし、CDがなきゃ意味がないからね」
「うん!!ありがとうリドル!!」

 あまりの嬉しさにハリーはリドルに抱き着いた。

 
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