恋涙〜賢者の石〜


□僕らを繋ぐモノ
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 ベンチで座ってハリーが食べ終わるまでリドルはハリーの髪に指を絡めて遊んでいた。

「結局、僕が殆ど食べちゃったね」
「良いんだよ、ハリーが食べたかったんだから」

 ハリーはリドルが然り気無く自分にシャーベットを全部食べさせたのに気付いてはいた。だが「あーん♪」と嬉しそうに促されれば断る事が出来ずに要望に応えてしまう。おごって貰った以上、出来る限りのリクエストに応えることでハリーはリドルに感謝を表していた。何故なら自分が無一文だからだ。

「…リドル、どうしてお金持ってるの?」
「ん?学校で“勉強会”を開いてるでしょ?その報酬」
「…へ?」
「冗談で言ったらホントにくれてね。それ以来定期的にやってるんだよ」

 リドルは頭が良い。テストをすれば必ず満点だし、授業に至っては先生が答えられない程に深い追求をする。塾の真似事のようなものを開いて手に入れた報酬なら、まぁ良いかとハリーは納得した。
 だが実際はリドルが「教えても良いけど払ってね」と強制したり、教師に「代わりに教えたんだから対価があっても良いよね」とかなり歪曲されているが、ハリーが気付くことは一生無いだろう。

「…あ」
「ん?」
「リドル、彼処」


 ハリーが示したのは『爬虫類コーナー』だった。

「行く?」
「うん♪」

 ハリーは爬虫類も大好きだった。リドルはまた新たに発見したハリーの趣味に一人満足そうに微笑んだ。やはり好きな子の知らない面を見るのは嬉しい。今のリドルに『爬虫類?気味悪くないの?』という疑問は浮かばない。何故なら相手はぞっこんラブなハリーなのだから。


「ムカつく」
「まぁまぁ、抑えてハリー」

 爬虫類コーナーはひんやりしていて居心地が良かったが最悪なことにダドリーと遭遇してしまった。二人は隣にいるにも関わらずに無視を決め込んでアナコンダを見ていた。コーナーを廻る順番を守っているので次のニシキヘビの場所に来ると思わずハリーが呟いたのをリドルが宥めた。どうして従兄弟なのに向こうには可愛いげが無いのだろう…いや、あった方が気持ち悪いではあるが…ぼんやりとリドルが考え事をしているとハリーが蛇に向かって話しかけていた。

「ごめんね?ゴリラにそっくりだけど一応従兄弟だから僕が代わりに謝るよ」

 リドルは首を傾げた。ハリーは動物園が好きでよく独り言の様に話し掛けたりはする。だが今の言い方はまるで相手が応えると知っているような話し方だ。



 
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