恋涙〜賢者の石〜


□生き残った…
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 途端にリドルは顔をしかめて背けると吐く仕草をした。
 なぜ朝からこんな気色の悪い光景を見せ付けられなければならないのか…きっと今日の山羊座はワースト一位なのだろう。
 リドルは思わずそう考えて現実逃避を図った。するとそのタイミングでハリーがリドルにコーヒーを渡して朝食を目の前に置いた。しかも微笑付きで。

「はい、どうぞ。リドル」
「ありがとう、ハリー♪」

 リドルは目の保養だと言わんばかりにハリーを見つめる。
 フワフワしたナチュラルウェーブの黒髪。小さい頃に自分が『伸ばして』とお願いしたからか腰まである。それにバーノンが家から殆どハリーを出したがらないので、ハリーの肌は白い。雪のように白く美しい。

「ハリー、髪の毛伸びたね?」
「そうだね…切ろうかな」
「切っちゃうの?!勿体無いよ!!」
「だって、長いと料理とか色々するときに邪魔だし…」
「そうだけど…僕の毎日の楽しみを取らないでよ…」

 ハリーは美少女だ。アーモンド型のエメラルドの瞳が一層ハリーの可愛さを引き立てている。正直ショートでもロングでも似合わないはずはない。

「ハリーの髪弄るの好きなのに…」
「長い髪は…リドルも似合うと思うよ?」
「僕が?」
「だってリドルの髪の毛ってサラサラのストレートじゃん。僕いっつも『良いなぁ』って思ってたんだよ?」
「う〜ん…ハリーが言うなら伸ばしてみようかな?」
「ほんと?」
「ハリーが切らない間は、ね♪」

 悪戯に微笑んだリドルはウィンクをハリーに向けて飛ばした。
 リドルは容姿端麗の美少年だ。それこそ学校でリドルの美しさに虜にならない女子生徒はいなかったぐらいだ。また性格も温厚で成績優秀。男子生徒からの支持もあればご近所でも優等生で通っている。勿論彼は自身の容姿や周りの評判を知っているしそれを利用するために優等生として振る舞っているのだ。しかし、そんなリドルの魅力に唯一堕ちないのが他ならぬハリーなのだ。

「屁理屈じゃないか!!リドルも伸ばしてよ!!」

 今もリドルの微笑みでさえハリーには悪戯が成功した笑顔にしか見えていない。ハリーは良くも悪くも天然でピュアなのだ。

(もしくは赤ちゃんの頃から僕の傍にいたせいでそういう免疫が付いちゃったとか?)

 リドルは困ったように微笑みながらハリーのフワフワした頭を撫でて不貞腐れているハリーの機嫌を取った。隣でバーノンが「髪を切れ!!」などと抜かすが勿論無視だ。


 
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