恋涙〜賢者の石〜
□到着ホグワーツ
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「ハリー、まだかな…」
「おいトム、立ち止まってどうしたんだよ」
「ハリーがまだ出てこないんだ…そんなに着替えに時間が掛かるのかな。女子な制服って」
リドルは目を凝らしながら過ぎ去る人混みの中から必死にハリーを探した。ロンも一緒になってハリーを探すが中々見つからない。
「ポッターは小型だからな…リナを探した方が早いかもしれないぜ――…っと、早速だな、リナァー!!」
リドルの隣で傍観していたミサトが見事な声量でリナの名前を呼び手を挙げた。だが二人にはリナらしき人物を見付けることが出来なかった。だが暫くするとあの珍しい蒼い髪が僅かに目についた。そしてその後ろには頭にバンダナを巻いた見慣れない女子がいる。身長は僅かにハリーより高いぐらいだろうか。
「アクアも一緒だったのか?」
「あ、ミサトさんだ!!ひっさしぶりー!!」
「…相変わらず人の話しは無視か」
綺麗な空色の瞳を向けたアクアというらしい少女はリドルを見て指を指した。
「ミサトさんと同じ色だ!!すっげー!!」
「人に指を指すな。ど阿呆」
ミサトは何処から取り出したのか不明だがハリセンでアクアを叩いた。
「…同じ、色…」
リドルは思わずミサトを見上げた。当のミサトは肩を竦めてからリナの元に向かった。しかも公衆の面前で堂々とリナの肩を抱き、こめかみに口付けている。恥はないのだろうか。リドルの視線に気付いたアクアが楽しげに口を開いた。
「ミサトさんを育ててた人がそういう人だったから、ミサトさんにはあれが普通なんだと思うよ」
「あれが?どんな男だよ、ブレーンって…」
「あったかくってやさしくて面白い人だったよ。マグルだったけどボクとリナさんは近所だったからよく知ってる」
アクアはここで視線をロンに向けて手を出しだ。
「アクアマリン・アクーディア。リナさんとミサトさんの幼なじみです。アクアって呼んでください」
ロンは口をあんぐりと開けたまま条件反射にアクアの手を握った。リドルは何となく察しが付き小さく息を吐いた。大方、このアクアもホグワーツを作った創設者の末裔なのだろう。リナの時と同じリアクションである。
「僕はトム・リドル。よろしく」
「トム・リドル…か、トムで良い?」
「良いよ…あ!!ハリー!!」
リドルはアクアの自己紹介を適当に返し、リナの背中に隠れているハリーを見付け首をかしげた。