恋色台詞選択★51
□02.「本当、適いませんね」
1ページ/1ページ
鋭い閃光と熱を感じた時には手遅れだった。
「ッ……!!?」
夕暮れ時の魔法の森に、爆発が起こった。
術者である霧雨魔理沙は焔と風圧に吹き飛ばされ、地面を二転した後にようやく止まった。
後には術式に使ったと思しき茸の残骸や、爆風で吹き飛んだメモなどが散らばる。
「魔理沙…!」
頼まれて周囲に防護を張っていたアリス・マーガトロイドは、依頼者である彼女を抱き起こした。
「ったく…自分の実験で死にかけるなんて、笑えないわよ」
「アリスお前、怪我は…」
「私の心配より、あんたは自分の心配しなさい!」
防護を張っていたとはいえ、新術の威力は想像以上。
術者である魔理沙自身の反応が遅れた事もあり、彼女は火傷だけでなく全身を打撲していた。
「少しやり辛いと思うけれど、我慢しなさい」
ぴしゃりと魔理沙に言い付け、アリスは左右の指先に魔力を籠める。
そして、痛みで自身では動かし様の無い魔理沙の身体を操り始めた。
「帰って手当するわよ」
「ッ、ああ」
魔理沙がやっと応えると、アリスは進行方向に向かって既に歩き出していた。
不思議と痛みは無いが、身体は勝手にアリスを追って進んで行く。
「…本当、適わないよな」
前を進むアリスの後ろ姿に向かって、魔理沙は小さく呟いた。