すとーりー

□主と従者の想いと望み
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ざわ ざわ




人にあらざる華やかな髪と瞳の人々で溢れる大通り


笑顔に溢れる彼らの目がひとところで ふ、と止まる


が、それはそそくさと顔ごと反らされ 見なかった事にされてしまう






そこに似合わぬ 一人の子供。

愛らしい顔に傷をいくつもつくりボロボロの 鋭い眼差しの子供





己を見て見ぬふりをする者達など目もくれず 眉ひとつ動かさず 行く場所の無い子供は一人歩く。

そして





どさり。





静かに倒れた。


どよめきが起きる

が、 此処は貴族の居住地。

手を差し延べねばと思いながらも 皆、一瞬うろたえてしまった






ふわり。




黒髪がなびく




小さな手が倒れた子供に差し延べられる



『大丈夫?』




迷いなく手を差し延べたのは透き通る漆黒の瞳の幼い少年。



周囲から感嘆の声があがる

若草色の子供が霞む目を擦り顔を上げると 淀みない漆黒の色の少年は微笑んだ。

『お腹空いてるの? じゃあ 私の家においでよ』





若草色の子供は 淀みない笑顔に知らずその手をとる


その後ろから 少年の家の者だろう女が血相を変えて走って来る



まくし立てる『母』に少年は言う。



『ははうえ。 この子は私と同じくらいの歳です。
私には このまま見捨てることが出来ません』


少年の言葉に母は驚く









『私に 友達をつくっていただきたいのです』












主と従者の想いと望み






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