すとーりー

□消せぬはその血と御身の想い
1ページ/5ページ




幾度目だ。

幾度目だ?

幾度目なんだ?




ぎぃんと金属音が響き 刹那お互い反対側へと飛び二撃目を回避する

が それを認識する間も無く双方相手は目の前に迫り お互いの刃が交差する




薙刀の形をした刀は 既に小さな刃こぼれだらけとなった


息があがる俺とは違い あいつは疲れを見せない

なぜだ? いつもは簡単に深手を負わせる事が出来るのに



同じくあちこちが欠けた紅い槍
それを手に立つ そいつを見て俺は初めてゾッとした


血のような深紅の目が射抜く

それは 今まで何度となく奴の命を狙った俺が初めて見る 強い意思の込められた目

今までは『弟』相手で迷っていたというのか?



それは無い。
だってお前は


「どうした? 珍しく逃げる気なさそうじゃねーか」


――― 俺は騙されない。












消せぬはその血と御身の想い




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ