すとーりー

□春が来ーた春が来ーたー
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「春やなあー」

しんみりと白髪の青年が呟く


「動くとあちーな」

手でぱたぱたと仰ぎながら 茶髪の青年が気の無い返事をする



「「・・・・・・・・。」」

本日4月 1日。
俗に言うエイプリルフール
嘘をついても許される日


「・・・・・・あ、後ろに青大将が「はっはっは 見間違げーだって」


何やらぎこちない この二人

双方の思いは一つ。


年に一度のこの日 とにかく相手を脅かし焦らせびびり倒させたい
出来るなら事なら腰抜かしてわんわん泣かせたい


つまり暇なのである

親友同士は結構考え似てくるんです



芝居小屋の講演は午前で終わり 自宅に戻ってからずっとこの状態

『カンペ』と書かれたおそらくネタ帳を凝視する親友は一向に帰る気配が無い
というか カンペ見てるの丸解りなんだけど




「なあ・・・気付いてたか
俺 実は化け狸なん「あんさんタツノオトシゴやろが。」
※こんなんですが龍神様の息子です


こんな阿呆なやり取りが かれこれ三時間

騙されるくらいなら先に騙してやる!
意気込みはこの際いいとして いざつこうとすると出て来ないのが嘘

そのため あまりに阿呆でしょーもない会話が三時間。


しばし睨み合う。真顔で

と二人共黙ってしまった



(あかん。 焦るとよけいに何も浮かんでこーへん
なんか・・・ なんかドぎついのっ!)

(やべえυ 目がマジだ
本気のコイツに勝てる自身ねえぞっ
なんかこう・・・ えげつないの無いかっ!?)







沈黙を破ったのは







「二人共ー おはぎ出来たよー」

満面の笑顔の紫髪娘。
おはぎが皿の上に乗ったコゲにしか見えないのは何時もの事。諦めましょう


彼女の登場により 茶髪青年は一気に優勢となる

勝ち誇った顔。
左耳のピアスがキラーンと光る





「よく聞けやコケシ野郎っ!
俺ぁこの前見ちまったんだよ
コイツはな男なんだよ!!
なかなかごっつい胸板こさえた マッチョ野 ごぶっ!



お盆による強烈な一撃がクリーンヒット

がしゃあああん!!と派手な音をたて 『春物』と書かれた木箱の山に吹っ飛んだ




「誰がやねん。」

彼女は力持ちさんです


が、 こちらは


「ぎゃああああ――っ とっトリハダあああっ!!
キツイっ! エグいいっ! 能内アイコラあああああ―――ッ!!」(涙)

ダメージ大。





怒声と共にお盆が唸った










「くっくっく・・・ ザマあ」

悪役ばりで春物の着物に埋もれる茶髪君。
頭には大きなタンコブ

お盆でしばかれ 軽くぶちのめされてる親友を見 勝利(?)の余韻に浸る
鬼です この人。









が、世界はそんなに甘くない







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