すとーりー

□子狐こんこん山の中
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「では よろしくお願いいたします」



後方の従者に大きな風呂敷包を持たせ 頭を下げる見慣れぬ人物




いつの間に来たやら 寝巻きのままの青年が襖の向こうから包みを見る

一応、懐には短刀を忍ばせている





「あの・・・ 僕は払い師ではないのですが」


金髪の少年が困り顔で断ろうとするも


「払って頂けないのなら 処分して頂きたい」


鬼々迫る雰囲気に お人良しの彼は断りきれなかったようで



「・・・・・ はあ、仕方ありませんねえ」


ついに折れた彼に 何やら立派な人物は深く頭を下げる

彼は服装や能力などから 陰陽師や払い師と間違われたり混同されやすい傾向にあり
ぶっちゃけどうにか出来ない事もないので『人助け』をしていたところ 有名になってしまっていた

そして、現在ではこのようなお偉方から直々に頼み事をされる事も少なくはない




やれやれとため息をつくも引き受けたにはきちんと仕事をしなければ

「では ちょっと見せて頂けますか?」


従者が呼ばれ 慎重に包みが前へと運ばれる




が、 距離が半分程になったところだろうか



にわかに少年の表情がこわばる



「離れて下さい―――っ!!」



刹那、響く声






部屋から一瞬音が消える






次の瞬間 包みから巨大な獣が飛び出す


響く絶叫


獣は白い衣の少年へと牙を剥く




目の前へと迫ったその時


響く金属音。


飛び込んできた青年の刀に弾かれる金色の獣




標的の前に立ちはだかる黒髪の青年をぎろりと睨む

水平に刀を構える彼は物おじする様子がない



その後ろで シャラと錫杖が鳴る




同時に
「何事だっ!」

滑り込むように飛び込んできた白髪少年

獣を見るやいなやの抜刀




それをちらと見るや
不利と判断したか 獣は壁を薙ぎ倒し外へと逃亡する












子狐こんこん山の中





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