ストーリー
□白と黒の二子峠
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「うわ・・・ 迷った」
困ったな。と白は周りを見渡し首を傾げる
魄哉に届けるよう頼まれた風呂敷包みを顔の高さまで持ち上げ ため息ひとつ
こんな事なら迷子癖があるからと心配された時 大丈夫。と意地をはらなければよかった
「夕方・・・」
日の沈みつつある西の空を見やり 白は再び首を傾げた
かさり。
その背後で不意に落ち葉を踏む音
驚くでもなくゆっくり振り返ると 『彼』は穏やかに笑う
「迷子さん? 大変だね」
くすくすと楽しげに色素の薄い青年は笑う
白は むっと不愉快そうに彼に向き直る
「お前 目が笑ってない」
白と黒の二子峠