すとーりー
□嘘と誠
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「うん、 君に任せるよ」
そうっと覗きこめば やはり長。
それと
「ありがたき・・・」
幹部の一人。前に『いけ好かない』のつく
「でも それは君がツラいんじゃないかな?」
「お任せ下さい。 その程度 こなしてみせましょう」
何が? 疑問詞が浮く
その答え
長がゆっくりと口を開いた
「確かに恐れを知らない部隊というの役には立つだろうね
だけど 人の感情をいじくるって大変だと思うけどなあ
我々は人間とは違うんだよ?」
今 長と話しているのは幹部の中でもあらゆる術に長けた者
『人形』を造り出した 長が幼き頃よりの天才と言われる従者
つまりは 一族の者達を 使い捨ての兵士にするという事!―――
考えるより速く飛び出していた
「お待ち下さい!」
慌てる様子も無く 二人がこちらを向く
「護りならば私達が居るではありませんか! 一般の者を駆り出すなど・・・
長っ そのような!」
相手は長だというのに思わずまくし立てる
が 長は怒る様子もなく にこりと微笑んだ
「そんな事言ってるけど
君、負けたじゃないのかい?」
びくりと肩が跳ねる
「しかも・・・ あっさりね」
長が眉一つ動かさず こちらを見据える
全部知られている
ゾクリと寒気が走る
この二人相手に 逃げる事も敵わない
「バレていないと本気で思っていたのか?」
「はは 可愛いじゃないか」
にこにこと笑う長に恐怖を覚える
つうっと汗が伝った
そして その視線がゆっくりとこちらを向く
―――― 駄目だ
身体が動いてくれない
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