すとーりー

□子狐こんこん山の中
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そこに表れたのは


少々いびつな車。





車と言ってもいろいろと剥き出しな
シャーロック・ホームズが乗っていたようなレトロかつマニア垂涎のものをいろいろと乱雑にした、と 想像して頂ければ解りやすいかもしれない




「うわ すげ・・・・」

「なんと・・」

「なあ これ何?」


三者三様な感想を漏らす
が、遊んでいる暇はないので


「よいしょっと。
ほら、速く乗って下さい」


法衣という物凄く車の運転に向かない格好で乗り込む
一瞬 皆が「え。」という顔になるが


「安心しろい。 そいつは儂以外で唯一フランチェスカを乗りこなせる野郎だ。
まず、トチりやしねーよ」

源次郎が煙管をぷはーっとふかしながらニヤリと笑う



「いや、二人しか乗りこなせんとは それだけ凄まじく危ないものだという事じゃないのか?」

至極もっとも


ちなみに

「なあ これ何?」

二回目。
ゲンさん言わく『式神』に誰も説明していません
軽くめんどくさいようです



しかし、ぐだくだやってる時間は本当に無い


「忙にゃなんねーし とりあえず乗ってみるか。」


黒髪の青年に言われ 後部座席に乗り込む二人





皆乗り込んだのを確認し法衣の袖をめくる
やや下に有るレバーを ぐいと引けば


ドルルルルン!


大きな音と共にエンジンが掛かる


「今、九尾はどちらの方角に居るか解りますか?」


おお、と小さく歓声を上げていたが ちょっと考えて当初の目的を思い出し

「えーと あっちだ 多分。」


指刺す


「解りました では・・・」

「おう フランチェスカに傷つけたらただじゃおかねーからな」


源次郎が煙管を放し ひろひろ手を振る


「かっ飛ばします!
しっかり掴まってないと落ちますよっ!」


「「「え゛。」」」



一気に踏まれるアクセル

と 同時に

ギュルルルルンッ!

フル回転するタイヤ

弾かれるように飛び出す車体









「ちょ 待てっ! これヤベえってっ!」

「大丈夫です。道路交通法も運転免許も存在してませんから!」

「そういう問題か――ッ!!」

「・・・喋ってたら舌噛むと思う」








ギャルルルルっと 大丈夫なのかと言いたくなる様な騒音を出しながら疾走する謎の鉄の塊。

人通りの少ない山奥爆走だからよいものの 大きな通りではまず乗れない代物。

「確実に余所様に怒られますよねー」






まかりなりにも車なのに



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