日和
□距離<赤い糸
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「…それなのに、俺に嫉妬した友人が……」
「殺したんですよ。彼女を。僕の…目の前で」
何か冷たいものが一瞬にしてこの場を包む。
僕はただただ、目を見開いていた。
「殺すのなら、俺を殺せばよかったのに…!そうでしょう!?」
大王は男の問いかけには答えず、ただ男を見ていた。
「…そしたら、友人が彼女を失うお前の顔が見たかったら、お前の前で彼女を殺した=cって、言ったんです……!」
男の言葉に、僕は耳を塞ぎたくなった。
ドロドロした何か。歪みきった人間の成れの果てだ。
「だからもう、俺、そいつが憎くて憎くて……。気付いたらそいつを…………」
「殺したのかい?」
大王は目を細め、呟く。
「…はいっ。すいません!…すいませんすいませんすいません……」
その後、罪悪感に囚われるのに耐えきれず、自殺したという。
「君は殺人もしているし、自殺もしている。残念だけど……」
「地獄ですね…。分かってます。
でも、一つだけお願いがあるんです」
そう言うと、男はポケットから何かを取り出した。