紅月日和(連載)

□第二章:王の叫び
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「俺は罪深いから、こうなるのが定め…だから……」


「何が定めですか、大王らしくない!
冥界の王は貴方なんですよ!?」








嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ!









大王が居なくなったら冥界は、死者は、生者は、僕は……っ!!











大王の手は、冷たく力無かった。

僕の手を握り返しもしない、まるで諦めたかのように。


「大王、このまま飲み込まれては駄目です!」

「…でも、それで地獄の死者達の怒りが収まるのなら…」




――――っ!!!









「うるせぇ!大王イカ!!僕はアンタが居なくなったら困るんだよっ!!!」









「…お……におく…」


大王の手がピクリと動き、僕の手を強く握ってきた。











「俺だって…、本当は鬼男君ともっと一緒にいた…いし…、一緒に………この冥界を………!」






――その刹那、スルリと大王の手がすり抜けた。


「…大……おっ!!」










闇が、クスクス笑いながら消えていく。大王もろとも。







最後に見た大王の顔は涙でぐしゃぐしゃで、
何度も声にならぬ声で僕の名を叫んでるかのようだった。



黒い魂が去った後そこには、『大王』と書かれた帽子のみが残されていた。
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