紅月日和(連載)
□第一章:動き出す歯車
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何かを守る為に残った拭えない罪。
…だとしても、
「罪は、罪ですから……」
「罪は裁かなきゃ。…だしね………。」
今日も一人、また一人と裁かれる。
今まで考えたことなかった…いや、考えようとしてこなかっただけだろうけど、
地獄行き≠ニ宣告された時の絶望感といったら、凄いものではなかろうか。
死んだ後、すぐ鬼になった僕には想像がつかないけど、宣告された人達の叫び声や泣き声はその絶望感を物語っている。
何処までも、何処までもこだまする叫び――…
大王は椅子にもたれ、溜め息をついた。
「時々、思うんだ。人を裁いている俺が一番罪深いんじゃないかって」
「それは大王の務めであって、罪に問われるようなものではないですよ」
大王に課せられた使命は、
重くて
辛い。
隣でいつも大王を見ている僕。
地獄の宣告をした大王の顔はいつもより青白く、悲しく見える。