紅月日和(連載)

□第一章:動き出す歯車
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冥界、それは生を受けたもの全てが行き着く場所。


今までの生きてきた軌跡を問われ、見られ、裁かれる。







天国。そこに行き着く者は皆、安らかなる時を過ごすこととなる。

地獄。そこに行き着く者は皆、生前の行いに囚われ続ける業火の中、悶え苦しむこととなる。
















「…鬼男君?」

「はい、何でしょう」






仕事をする手がピタリと止まる。

珍しく黙々と仕事をこなしていた大王がふと、こちらを見つめる。








「鬼男君は、地獄に堕ちてみたい?」

「いや、それは遠慮したいんですが…」


「…だよねー、普通そうだよねーー…」

「誰でも、死後は安らかに過ごしたいに決まってます」


「…だからこそだよ」

「……?」











「もしさ、世界を救う為に人を殺めた人がいるとするよ?
その人には、殺人という罪があるから、例え世界を救ったとしても地獄に堕とさなきゃいけない」


「………。」

「俺は閻魔大王だから、罪を見過ごす訳にはいかない。
でも、でもさ…」
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