日和
□距離<赤い糸
1ページ/4ページ
窓辺が夕日に照らされる頃、僕は大王と一緒にしばしの休息をとっていた。
「鬼男君、お疲れー」
大王が微笑みかけてくる。
今日の仕事は取り敢えず、一段落かな………。
…と思ったのも束の間、一人の死者が重い足取りでやってきた。
大王は椅子に座り直し、その死者を見つめた。
突然のことだったので、僕は慌てて死人リストを手に取った。
死人リストに記述がない………。
「自殺したんですか……?」
彼は僕の問いに頷いた。
自殺したらしい男のシャツには、血がついていた。
「…その血、君の血じゃないでしょ」
大王がちらりと男を見て言った。
「……すいませんっ!」
その瞬間、男は大王の前で膝をつき、泣き崩れた。
「……俺、俺!もうすぐ、結婚する予定だったんです。
最愛の彼女と……!」
大王は全てを見透かしたような瞳で男の話を聞いている。
全部、知っているよ≠ニでも言いたげに。