小説

□キスはお薬
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キーンコーンカーンコーン





チャイムが鳴ったのに、半田の姿は教室になかった。


「あれ…遅刻かな…?」


いつもぼくと半田は一緒に登校している。


が、今日はいくら待っても待ち合わせ場所に半田がこなくて仕方なく先に来てしまったのだ。



「ま、まさか、半田僕のことまだ待ち続けてるのかな…」


そんな半田を考えて背中をゾクゾクさせる。


学校に来たらおもいっきり抱きしめてやろう。


早く来ないかな…──────────















「来ない!!」


バンッと机を叩きイスを後ろに勢いよく飛ばして席を立った。


もう4時間目だというのに半田が来ないのだ。


半田は風邪なんてめったにひかないから学校でも皆勤賞もらってるからまさか風邪なわけない!


ってことは………



浮気!?浮気!?浮気!?


今ごろ他の女(男)と寝て……………………



「あーもう!先生!具合悪いから僕帰るね!」



そう言って教室を出ようとドアの外へと歩き出す。



「ま、松野くん!?」



先生の声なんてお構い無し。


僕は真っ先に半田の家に向かった。








ガチャッ


何も言わずに勝手に半田の家に上がり込んだ僕は真っ直ぐ半田の部屋に向かった。


親は仕事かなにかでいないようだった。


「半田!!」


ベッドに横たわる半田を見て名前を呼ぶ。


「風邪ひいちゃってさ…ゲホッゲホッ」



そう言って体を起こそうとする半田を「無理しないでよ」と再び寝かせる。



「学校どうしたんだよ?」


「早退した」



「…なんでっ!?」



「半田が浮気してるのかと思って」



「……………………。」



「だって半田風邪で休んだことなんてないじゃん!風邪じゃなかったらヤること一つしかないでしょ!」



「ヤることって…てか一つっておかしいだろ」



「おかしくない!まあ半田が一人でヤっててよかったy」

「ヤってねえ」


「僕をおかずにしてたんだろ、可愛い半田っ」


口に手を当ててクスッと笑うマックス。



「………ハァ…」


半田が大きなため息をついた。


「何?図星だったの?」


「んなわけねーだろ。」



「ふーん」


「てかマックス帰れよ」



突然の言葉に驚いた。


「………え?」


「だから帰れって」


「なんで」


「風邪、うつるだろ」


「…あぁ。大丈夫。僕強いから。」



「そういう問題じゃ…」



困っている半田を見て口が緩む。


可愛い半田。


僕の心配なんてしてくれちゃって。




チュ、と触れるだけのキスをする。


驚いたような顔で僕を見る半田。


「うつるって言っただろ!」



ちょっと怒る半田に、



「大丈夫。僕のキスはお薬だから」



そう言って次は首筋にキスをする。


「やっ…マックス…やめっ…ん…ぁ…」






そうして半田くんはマックスに体中キスされましたとさ。


数日後、マックスが風邪をひいたのも当たり前の出来事だった。



【おしまい】

(ねえ半田、お薬)

(ほら)

(錠剤じゃなくて、キ・ス)

(一生寝てろ!!//)

(僕は半田にしたのに(泣))

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