「Line」

□パイみたいに
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場所はイタリア、ボンゴレ本部会議室だ


シィン…と静まり返る室内
それなりに広いので、集まった幹部でありボスの守護者たちは自分が最も居やすい場所に落ち着いている

その内の山本だけは、思い詰めたようにソファに腰掛けていた




その時だ

プルルルルル


と電話が鳴った。ツナへと視線を向けた、ツナがみんなを一瞥し目の前の電話を取る

「………はい」

「『ごきげんよう、ドン・ボンゴレ』」
それは、まさにロイトの声だった
スピーカーフォンへと切り替えると、ゆっくり受話器を机におく

「その声、バーテットファミリーのロイトさん…でしたかな?」

「『ええ。ご挨拶が遅れまして申し訳ない
では改めまして…』」
「いえ、結構です。
………それで御用件は」



「『フフ、そうですね御用件

少しばかりご忠告がありまして聞いていただけますかな?』」含み笑い気味に言う。「勿論」と簡潔に答えると、会議室の皆が生唾を飲み込む



「『関係者は、きちんと匿っておかなくちゃ…ね。』」
クスクスと笑う
そして、電話口で小さく『ほら来い!』と命令する声が聞こえた


「『っ、きゃ』」
ドンッと押されたような音が響き、小さく叫ぶ。利央だった

「利…っ!」
山本が利央を呼ぼうとして、それを獄寺が肩を掴み止めた。今はダメだ≠ニ視線で伝えたのだ



何か喋れ、と命令されている
「『だ、大丈夫ですから!私は
多分、山本さんあたり思い詰めているかもしれませんが
私は大丈夫です!あと、店にもうい……っあ"ぁ』」
パンッとおそらく銃の音
そして最後苦しげに喘ぐ声が電話口から聞こえた


「『クスクス…どうしますか?
彼女を返してほしければ、明日までに100億ご用意なさいな


そしてドン・ボンゴレ。明日わたくしの屋敷にご招待いたしましょう
よい返事を待っておりますぞ』」
一方的に電話口を切る





チッ、と獄寺の舌打ちが異様にも響いた


***


時は変わり翌日。
時間は昼過ぎである

ツナは、右腕である獄寺を連れてバーテットファミリーの屋敷に訪れていた


ツナの隣には隼人
いかにも不機嫌そうな隼人はあきらかに眉間のシワが三割増し

そんな顔をしつつも、隼人の脳内では"作戦"の確認が行われていた




まずは、バーテットファミリーのボスに要求通り金を渡す
しかしそれはフリであり、主戦力として骸とクロームが利央を捜索する算段だ

ちなみに二人は今、幻術で身を隠して捜索中である



山本はボスを殺しかねないので待機だ
会議室が半壊するほど反抗されたが捩じ伏せた




今、利央に血生臭い現実を見せてはいけない
沢山人を殺めてきたが、それを知っている利央であっても
彼女に"私は重荷"と思わせてはいけない

もしもボスを殺してみろ。利央は『私の所為で殺すことになってしまった』とでも言うだろう




こちらです、と案内された先にはバーテットファミリーボスのロイトが鎮座していた

ニタニタと不敵な笑みで二人を見ていた


「彼女を返していただきます。」

そういってツナは歩みを進めた
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