「Line」

□パイみたいに
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「くそっ」
イタリア、ボンゴレ本部の会議室のテーブルを殴る

「落ち着きなよ。」
雲雀が落ち着いたように腕と足を組んでいる

「落ち着いてられるかよっ利央が拐われたんだぞ!?」
「うるっせぇぞ野球バカ!」
雲雀に襲い掛かりそうな勢いの山本を獄寺が制す


「武、落ち着いて。とりあえず犯人は分かってる
ただ、そこに利央さんがいるかはまだ不明だけど」
ぴらっとテーブルに書類を一枚投げる

そこには、一枚の男の写真と名前他が記載されていた

「バーテットファミリー…ロイト?」
金髪と無精髭が目立つ男だった

「そう、一応同盟組んでるんだけど不穏な動きを見せたから目はつけてたんだ

まさか、利央さんに手がいくとは思ってなかったけど」
コーヒーに口をつけたツナが顔をしかめた


バシンっと会議室の扉を開け放つ
「綱吉!彼女の行方が分かりましたよっ」

「ボス……でも、これは」
骸が写りの悪い写真を見せた

「利、央。」
ちょうど車から下ろされ、バーテットファミリーの屋敷に入るところだった
意識が無いようで、ぐったりと担がれている

「これ‥証拠になるけど……入ったことしかわからなくて
このお屋敷の平面図も手に入らなかった…」
ごめんなさい、とロイトについての書類を数枚置いた

「いや……、これで突っ込めばなんとかなるかも」
顎に手を当てて写真を見る


「待て。」
凛として響いた声

「リボーン!」
その声に、会議室の扉を見ると扉に寄り掛かったリボーンが居た

「突入するのは危険だ。万が一制圧しそこねたら利央が無事だとは限らねーだろ」

「けどよ……っ」
パンッとサイレンサーをつけないまま撃った
後ろの壁に銃弾の穴が開いた

「とにかく、要求があればあっちから接触してくるはずだぞ」
そういいつつ、拳銃を定位置にしまう

「っ、利央…!」
そう呟く声に反応するものは誰一人いなかった


***

ガシャッと鎖を引く、完全にコンクリートと接合されており
怪力をもったヤツがいない限り引き抜くなんて事は出来ないだろう


「つぅ…」
ズキッと手首が痛い。引っ張りぱなしだったから擦りきれたのだろう

それでも、ガシャガシャと鎖を揺らしている

「おいおい、いつまでやる気だ?
手首がちょんぎれちまうぜ?」
急に鉄扉を開けて入ってきた

「私、ここ嫌なので。早々に脱出したいですし」
手には、再びお盆があった

「ほらよ、メシだ。一応夕飯だからな
って、パンしか食ってねーし」
前に持ってきておぼんと交換して、新しい食事を置いた

「目的はなんですか?被害者なんだから、それくらい教えてくださいよ」

「あっはっは!ずいぶんと的を射る質問じゃねえか」
眉間を押さえ、豪快に笑った
「いいさ、教えてやる。お前さんボンゴレの関係者だろう?」

「何のことですか?」

「しらばっくれるなよ。幹部たちに囲まれてるのを、しっかり見ていたからな」
目頭を指して、意地悪く笑っている

「関係があるから私を拐ったと?」
そうだ、と楽しげに含み笑いをしながら言っている



そのまま出ていって、鍵を掛けた


「―――――っ」
ガシャンッと、鎖を揺らした
それでもやはり、それは切れない

鉄製品だから当たり前だ


コンクリートに埋められた鎖を取るのも無理であろう

「ありえない…っ」
たったいま出ていった男へと悪態をついて、再び鎖を揺らした
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