「Line」

□例えば紅茶で
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カランカランと乾いた鈴の音がする

「いらっしゃいませ、喫茶店『Line』へ」
カウンタの内側から小さく礼をした

「よぉ、元気そうじゃねーか」
聞きなれた、低めのテノール

「山本さん!まだ仕事中じゃ…」
驚いたように言う。何せ今は午後3時だ

「今日は午後から非番だったからな、久しぶりだろ?会うの」
口元を緩ませて笑う彼につられ、自分まで微笑んでしまう。

確かに、最近は仕事が忙しいらしく会っていなくて
この狭い店内でも、とても広く寂しく感じていた
普段、お客様は来ない上に常連客は山本のみだったからなのか話し相手は彼しか居なかった

山本がカウンタの席に座るのを見て、カチャカチャとお茶の用意を始めた

「今日は特別にチャイ≠チていうインドの紅茶なんですよ!!
良い細かなお茶っ葉とシナモンが手に入ったんです」
慣れた手付きで、チャイを淹れていく利央を見て
へー、と感心したように声をあげた

「元々、チャイって粗末な紅茶の葉から美味しく飲めないかと試行錯誤して出来たと言われているんです
ただ、凄く甘いから現地ではお菓子として出されてますけど」
フフと笑いながら、イタリア風にコーヒーカップに注いだチャイにシナモンをかけてカウンタに置いた

「ホント、ここでの利央って別人だよなー」

「普段も、こんな感じの方が好き…ですか?」
鍋を洗う手を止めて、下を見たまま言う

「どっちも好きだぜ?利央」
平然と言うな!by管理人
しかし、利央の顔はみるみる内に赤くなっていく

「っ、なんでそんな平然と言えるんですかァ!!」
頬を真っ赤に染めた利央は、目の前に座る彼に言う

「ん〜…さぁ?」
満面の笑みで言いますか‥とうなだれながら言う

少しだけ冷めたチャイを口に含むのをみて、ふと思い出す

「確か…―シナモンには意味があるんです。意味は……―」
クルリと後ろの食器棚に食器を戻しながら続ける
「『愛』」
一瞬、ピタッと山本の動きが止まったかと思えば直ぐにまた体は動いた

「ほんっと物知りだな」
まるで少年のように、少し顔を紅潮させている

「私も昔、本で読んだだけなので詳しくは分かりませんけど


でも何気なく使ってるものに、大切な意味が込められてるって
凄く素敵な事だと、私は思うんです」
はにかむように笑うと、それに合わせるようにして山本からも笑みがこぼれた

「平和だな。」
「そうですね」

今日も二人は穏やかに、その日を過ごしましたとさ!



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なんか分からなくなって強制終了…ごめんなさい
 

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