短編
□魅惑のパンダ
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「因果」
「ん、なーに?」
「その、パンダの手さ」
「ん?僕の手?」
「触ってもいい?」
私は因果が手に嵌めたパンダの手を指差した。
彼のパンダ帽子から続く、ふわふわのぬいぐるみのようなそれは見た目にも柔らかそうで綿あめみたいだ。
実際よく因果が抱きついてくる時もとっても柔らかくて、いつかちゃんと触ってみたかったんだよね。
因果はパンダ手を嵌めたまま両手を口に当て、きょとんと首を傾げた。(その仕草も幼い子どもみたいですっごく可愛い)
「いいよっ」
「本当?やったー!」
「名前だからね、特別!」
「え、わ、ありがとう!」
パンダ耳をピコピコ動かしながら私に笑顔を見せた因果が、サッと両手を差し出してくれる。
その満面の笑みがある意味で凶器なほど可愛らしいけど、私はどうにか平静を保って、お礼を言いながらそっとパンダの手に触れた。
「わぁ〜、ふわふわだねぇ」
「ふわふわでしょ〜」
ゆっくりと指をうずめたそこは、予想以上に柔らかくて、触れた所から暖かくなった。
ぬいぐるみ、というより綿に近いのかな。
まるで雲を触ってるみたいにすっごく柔らかくて気持ちがいい。
手の平の肉きゅうを押してみると、僅かに弾力があった。
う〜ん、リアル!
にぎにぎと感触を確かめるようにあちこち触っていると、因果は楽しくなったのか「きゃはは〜っ」と笑いながら私の手を握り返してくれた。
「この手で猫パンチされたい…(ボソッ)」
「へ、なに?」
「いやなんでもないよ」
柔らかさが心地よくて、つい本音が出てしまった。
でもこの気持ち良さはそう思ってしまうレベルだと思う。
もふもふされたい。
絶対気持ちいい。
「因果、頭も撫でていい?」
たまらなくなって、私がさらにおねだりすると、またもやパンダの両手で口元を覆った因果。
(だから、その仕草が可愛いんだって!)
「ふふふー、名前ったらそんなに気に入った?」
「気に入った!
だってすっごい気持ちいんだもん!」
「あはっ!」
素直に私がそう言うと、因果は嬉しいのか目を細めてその場でぴょんぴょんとジャンプをして、
「じゃあぎゅーしていいよ?」
と言うと、
「うわっ、と」
「ぎゅ〜!」
勢いよく私に抱きついてきた。
じゃれるように笑いながら私の胸に顔を埋める因果。
こんな風に、いきなり飛びつかれる事には慣れっこだった。
だから、私も微笑んですぐに彼を抱きしめ返す。
(う〜んやっぱり柔らかい!)
因果の頭に手を伸ばして、ふわふわのぬいぐるみの頭を撫でながら自らの頬を擦り寄せて感触を楽しむ。
彼も彼で楽しんでいる様子で、猫なら確実に喉が鳴っているだろうなぁという表情をしていた。
「名前も柔らかいよね」
「えー、そうかな?」
「うん。胸が」
「…ばか」
可愛い顔してこの子は。
むうっと頬を膨らませながら因果の額に軽くデコピンをかますと、彼は悪びれもなく「ごめ〜ん」と謝ると両手で私の頬をつぶした。
ぷすっと気の抜ける音がして、どちらともなく笑い出す。
ふわふわのパンダの両手に頬を包み込まれて、目の前には大好きな因果が笑っていて、あぁなんだか幸せだなと私は思った。
魅惑のパンダ
(うわっ、お前たち抱き合って何してんだ?)
(あ、新十郎だおかえりなさい)
(新十郎は混ぜてやんないよ〜!)
.
あとがき
因果ちゃん可愛いよう因果ちゃん…!
同士様を見つけた喜びから昨日一気に書き上げてしまいました(笑)
因果ちゃんにもふもふされたい。
あのパンダのかぶりもの欲しいなぁ。
因果ちゃんが歩く度に鳴る、あの鈴と同じような音が鳴る鈴のストラップとかも欲しい。まじで。
2011/11/20
関係ないですが昨日夢にまで因果ちゃん出てきて本当にハマってるなと思った今朝。