短編

□あなたしか見えない
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黒の教団本部食堂・昼
そこにはいつもの昼食時間、いつもの光景があった


「あっ、名前テメ!
今俺のとこに汁飛ばしただろ!」

「違いますーラビだよ。ね、ラビ?」

「えっ俺?」

「うるさいです神田。
あ、リナリーそこの醤油取ってください」

「はい、アレン君」


上から神田、名前、ラビ、アレン、リナリー

エクソシストの中でも年が近いこの5人特に任務がない日は、よく揃って一緒に食事をとっていた…のだが


今日、名前の向かいには神田が座っており、現在名前の食べている麺物の汁が自分にはねたのだと神田は講義している所である


「絶対正面から来たんだよ!
テメェしかいねえじゃねえか!」

「だからラビだってば
神田もしつこいなあ」

「俺を巻き込むなさあ」


リナリーはいつもの光景にくすくす笑いながら、ラビは呆れつつも慣れた応酬に適当に返事を返し、アレンは目の前の食事を胃に詰め込みつつ、名前の弁護をする
 
 
「あーもう神田黙ってください
あなたの罵声を聞いてるとご飯がまずくなります」

「うるせえモヤシは黙ってろ!」

「ちょっとアレンに文句言わないでよ!」

それでもまだぎゃあぎゃあ騒ぐ神田に、眉をしかめた名前が隣りのアレンに抱きついた


「アレン、もうバ神田がいちいちうっさいよー!」

「あぁ!?」

「本当ですね。じゃあ…」


そう言うとアレンは名前の顎に手を添え、そのままくいっと顎を持ち上げ耳もとで囁いた


「そんなバ神田のことなんて考えてないで、僕の相手してくださいよ」

「!」


ちゅっとリップ音を立ててアレンの唇が名前の頬に落とされる

あっけに取られる三人の前で、すぐに嬉しそうな笑顔を見せた名前は「うん!」と素直に返事をしアレンに身を寄せた


「そうだよね
バ神田なんかに構ってる暇なんてないわっ」

「その通りですよ名前
ほら僕の唐揚げあげます、あーん」

「あーん♪」

「テメェらぶっ殺す…!!」

「落ち着いて神田」

「落ち着くさユウー」

そんなこんなで2人の世界に入ってしまったバカップルについに神田がキれ、それを宥めようとするラビとリナリーの姿もまあいつもの昼下がりの光景だった。





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