イナズマ×ポケモン

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実は私、名字名前は威張ることでもないんですが平々凡々な人間ではありません。



幼い頃…まだ七歳くらいだったでしょうか、私は両親を事故で亡くしました。
私はカントー地方の自然溢れるマサラタウンにある祖父母の家で育てられました。

マサラタウンというのは、周りを見渡せば家と畑や牧場があるだけの、視界には緑いっぱいの町でした。
平たく言えば、平和で長閑な田舎です。
友達ができないんじゃないかという不安は杞憂に終わりました…たまたま近所に私と同い年の子が二人いたのです。

それから私達はすぐに友達になり、何を過ごすときも三人一緒でした。
初めてポケモンを手にしたのも、三人一緒でした。
周りから見れば兄弟と見間違うくらい、それぐらい仲の良い関係でした。



五年くらい経ったでしょうか…祖父母を病気で亡くし、私は身よりがなくなってしまったのです。
私はカントー地方の孤児院に預けられる予定だったんですが、そこはもう既に定員で部屋はなく、私を受け入れるには厳しい状況だと聞きました。
孤児院の方の計らいで、私はイッシュ地方にある孤児院に預けられることになりました。

私にとってマサラタウンを離れることは辛かったです。
両親が死んだときも、祖父母が死んだときもたくさん泣きましたが、そのときも私はいっぱい泣きました。

「だから泣くな、名前」

「ううっ…だ、だって…っ…」

「また会えるよ、きっと。ね?」

「最後くらい笑ってくれ」

「泣き顔じゃ、僕達も心配で見送れないよ」

そういえば、幼馴染の二人は優しく頭を撫でてくれた。
昔の記憶のはずなのに、何故か鮮明に覚えている。

「また会おうね!修也、士郎!」

ようやく泣きやんだ私は、やっと彼らに笑顔で手を振ることができました。
あの日のことを、今も忘れることができません。



それから私はイッシュ地方の孤児院で過ごしました。
田舎育ちの私にとって、孤児院という子供が多い場所で生活するには、戸惑いや不安が多かったです。
その中で優しくしてくれた子がいたのですが……長くなりそうなので割愛させていただきます。



しかし一年後、私は再びマサラタウンに帰ることになりました。
マサラタウンにあるポケモン研究所の方が、私を引き取ってくれるというのです。
私はマサラタウンに住んでいましたが、その研究所を訪れたことは一度もありません。
同じ町に住んでいたので、風評だけは聞いていたのですが、研究所は私達の家から遠かったのです。
どうして見ず知らずの私を引き取るんだろう…そう思いました。


孤児院を出てポケモン研究所を訪ねました。
研究所は無駄に部屋があり、その一室を私が使ってもいいとのことでした。
恐らく、他の研究者が泊まる為の部屋だったのでしょう。

その研究所で一番偉い人が、私を引き取ってくれた方でした。
私がマサラタウンを離れ、イッシュ地方の孤児院に預けられたのを知っていたのです。
ですが、当時は研究所は増築途中で、まだそう部屋数がなかったそうです。
だから一年経って、私が引き取られたらしいです。

幼馴染は二人共旅に出ていました。
私もそれを聞いて、旅に出ようかとも思いました。
一番に会いたかった人達を、追いかける為に…。



ですが私は、旅に出る直後にとある事故に遭遇してしまいました。
私は、大切な   を傷つけてしまったのです。


それから私は深く傷心し、しばらく家に閉じこもってしまいました。
幼馴染を追いかける、という選択肢はもう頭にありません。
ただ、外が怖くて仕方ありませんでした。

 

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