Middledream
□氷解させる愛〜最終話
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突然、ネジが意識を無くして倒れたのだ。
慌てて聖奈がネジを抱き起こす。
「ネジ?しっかりして!…熱っ…」
額宛てを取り手をあてるとかなりの高熱があるようだ。
たしかにチャクラをあんなに使い走ったり眠らないときもあっただろう、こうなるのは当然だった。
自分も嬉しさのあまりでネジの体の熱さに全く気づかなかった。
「ごめんね・・・」
任務とはいえ、ネジにかなりの負担をかけてしまった。
とにかく早く看病しなければ、悪化してしまう。
しかしチャクラが少なくて医療忍術は出来ない。
たき火を洞窟につけてからビリィッと大きな音を立て自分の服の布を引き裂き血継限界で出した氷を包み溶かして水でひたす。
そしてそれをネジの額の上にのせてやり、座り抱き抱えたままそっとしておいた。
白「兄さん」が言っていた、抱きしめていたら寒くないと。
とにかくテンテンたちがこの洞窟の存在に気づいて助けに来てくれたらいい。
そして座っていたからか、気づけば聖奈も意識を失った────…
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オレは一体どうしたのか。
目眩がして・・・倒れたのか・・・
情けないな・・・
そうだ、聖奈は・・・!
「あ、おはようネジ」
「・・・?」
目を開けるとそこは洞窟ではなく、馬車。
「驚いた?あのね、朝になったらテンテンたちが助けに来てくれたんだよ?もうすぐで木ノ葉に行ける船乗り場に着くから、ちなみにテンテンたちは別の馬車ー;」
嗚呼、やっと何もかもが終わったんだ。
「ネジ?まだ身体だるい?」
「否、もう大丈夫だ」
「そう?でもあまり無理しないでね」
そのとき、
「あぁ」
ふとオレは何年かぶりに会った・・・彼女がガイにぶつかってからバタバタと走り去ったあとを思い出した。
****
あのときはまだ、彼女があの『氷崎 聖奈』と知らなくて。
解散したあとガイはオレだけを引き止めた。
『そうだ、ネジだけには言っておくな。まぁ二人にも言うかもしれんが』
『何がだ?』
『じつはな・・・今回の護衛する相手の名前は、『氷崎 聖奈』というんだ』
『!・・・聖奈と・・・明日会えるのか?』
『あぁ。良かったな、ネジ!』
諦めなくてよかった、また会えることが嬉しくて。
お互いの気持ちがわかって、
やっとオレだけの光を掴んだと思った。
でも
そう思うのは早かった気がする。
まだ試練は
あった。