二羽の鳥が羽ばたいて

□6.一ヶ月だけの夫婦
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人の心は必要なとき以外読まないと決めていた。

それはルール違反だと思っていたから。

でも…

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あれからしばらくの時が流れた。

退院してから、シカマルがあたしの家にやってきて、任務が失敗したことを告げられた。
けれど胸は痛まなかった。
確かにサスケが里を抜けてしまったことは少し寂しい。
でも、ネジが生きてくれている…それだけで、いい。
ネジは大切な人、あたしに光を教えてくれた人。
ネジは、あたしの生きる希望。


…このときはまだ、そんな自分の感情の「意味」に気づいていなかった。
けれどすぐに、その解答となった事件は起きた。
…そしてそれは、あたしの運命をさらに大きく変えることとなる。

ナルトが、自来也様と修業に旅立っていった1週間後のことだった。

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「ネジ、リー、テンテン、舞衣、いの、シカマル、チョウジ、ヒナタ、シノ、キバ、サクラ、カカシ。任務だ!!」
「多っ!!!」
綺麗に重なった声が、火影邸に響く。
綱手の後ろに控えているシズネの腕に抱えられたトントンが、顔を顰めた。

「任務って何なんすか?」
「フフ…アカデミーがまた再校になった記念に、ボランティアで劇をやることになった!!」
キバが尋ねると、綱手はにんまり笑いながらそう答え、そして舞衣たちに台本を配っていく。

「配役は決まってるぞ。私の独断と偏見だ」
舞衣はその言葉の後、ちらりと台本を覗く。
…呆然とした。

。°*。°*。°*。°

【白雪姫】

白雪姫…美瑛 舞衣
王子…日向 ネジ
継母&鏡…はたけ カカシ
小人…奈良 シカマル、山中 いの、テンテン、日向 ヒナタ、ロック・リー、秋道 チョウジ、
犬塚 キバ
狩人…油女 シノ
ナレーター…春野 サクラ

。°*。°*。°*。°


「あの…僭越ですが、なんか企んでません?
あたし…白雪姫みたいに肌白くないんで、ヒナタやネジのほうが向いていると思うんですが…」
「えっえぇ…!?わ、私…人前で話すのも恥ずかしいのに…そんな…」
「…俺は男だ。女の声など出せん」
「だそうだ。それに、舞衣は人前で話すことが比較的上手だろう?」

「…じゃあなんでオレが継母なのヨ」
「…なんだ、カカシは知らないのか?白雪姫の最後の話。
継母は焼けた靴で死ぬまで踊らされるんだ。
そんな危ない役、こいつらにやらせるわけにはいかないだろ?」
「紅とか、もっと適役はいるはずじゃ…」
「紅先生なら、今長期任務でいないぜー?アスマ先生と合同任務だって、喜んでた。まぁ、ガイ先生もいるけどな」

いししっと、キバが笑う。
カカシ先生は、あきらめたかのようにうなだれた。
…なるほど、一応考えているらしい。
でも、なんか怪しい気がする…と思い、舞衣は、伝心法の印を結ぼうとしたが…やめた。

人の心を読む。
その行為を、舞衣は好きになれなかった。
あの従兄が、彼女の心をあざ笑うために読み取ってくるからかもしれない。
とにかく、舞衣は心を読むという使い方が好きではなかった。


「とにかく!本番は1ヶ月後だ。
くれぐれも練習を怠らないように。以上!解散!」
そんな舞衣の心情などお構い無しというように、綱手が高らかに宣言する。
練習が、始まろうとしていた。
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