二羽の鳥が羽ばたいて

□4.伸ばされた光
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──よく、こんな夢を見ていた。

その夢は、オレ達が歩んで来た道と同じようで、全く違う夢。

そこに現れる少女は、眼をえぐり取られた状態で、鎖で繋がれていた。

そして、言うのだ。

『もう、手遅れよ』

パタンと、一冊の本を閉じ、オレはベッドに腰掛けた。

「…間違ってなど、なかったんだな」

…返事は、無かった。

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「白眼!」
ネジが白眼を発動すると、敵は蜘蛛の巣を口からたくさん出しはじめた。
それにしても数が多すぎる。
舞衣は木で自分の前に壁をつくり、なんとか免れる。

しかし、ネジは…手を押さえられて捕まってしまった。
「ネジ!」
舞衣がネジの名を呼ぶが、ネジは動じない。
敵は淡々と語る…それぞれの反応はバラバラだった。

「てめーはチャクラの扱いにかなり長けてる。
それに鋭い眼をもってるぜよ…ただ、そこの女はその眼がない。
代わりに神に近し血継限界をもってる…大蛇丸様に聞いたことがある。これが柔拳と心現象ってやつか…。
だが柔拳は手さえ使えなければ糸は切られないぜよ…死ね!」


──ネジは、最初からそのつもりだったのだろう。
口から出した武器の攻撃を、受ける直前に糸を切り脱出し、舞衣に目配せをした。
もちろん舞衣には、その意味がわかっている。

「特別に教えてやる。
オレは手だけじゃない…全身のチャクラ穴からチャクラを放出できる。
それと…」
舞衣はすぐネジの隣でかまえた。
「ゲームオーバーだ…」

「「柔拳法・八卦六十四掌!!」」
「「八卦二掌!!」」
「ぐあ!」
「「四掌!!八掌!!十六掌!!三十二掌!!」」
「「六十四掌!!!」」

スガガガァン!!

木を突き破り、敵は地面に落下していく。
その姿を見て、舞衣は「呆気ないわね」と呟いた。
が、まだ終わりでは無かった。

「……どういうことだ!?」
むくりと、点穴を突いたはずの敵が立ち上がる。
敵の身体は、金色の体表に覆われていた。
色的に、さっきネジに向けて吐いた武器と同じものだろう。

ネジは敵を睨んだ。
「化け物か…口からだけじゃないようだな」
「オレの蜘蛛粘金は体外にでると瞬時に硬質化する金属でな…しかもチャクラは通さない。
しかも身体中の汗腺からも分泌できる」
つまり…点穴からの攻撃は効かない。
それは、こちらが圧倒的不利だということを明らかに示した事実だった。


そしていつの間にか、敵の姿は何処かに消えていて・・・突然、どこからか起爆札つきのクナイが落ちてきた。
しかし、いつまで経っても爆発…しない。
ネジがそのトラップに気づいたのか、叫んだ。
「!…舞衣、罠だ!
八卦掌回天!!」

彼女は驚き、振り向く。
背後からは、クナイが飛んできていた。
「木壁!」
慌てて防御し、なんとか舞衣は身を守る。

それを確認してから、ネジはクナイを投げた。
「そこにいるのは分かっている。出てこい」
どこにいるのか探しても、舞衣には見えなかったが…暫くして敵は、何かを口寄せしたのが確認できた。
デカイ…蜘蛛。

その大蜘蛛は、上から蜘蛛をばらまいていく。
蜘蛛は、ネジの回天を止め、木壁を越えて降りだした。
そこに、クナイが向かっているのに、舞衣は気づかないまま。

彼女は、木壁が通用しない事実に呆然としていたのだ。
「舞衣!」
ネジはクナイを避けたが、舞衣にはグサグサとクナイが刺さる。
「っ…」

そしてまたクナイがくる。
回天も木壁も駄目ならかわすしかない。
しかしクナイをかわすと、上からまた無数の蜘蛛。

かまえて八卦六十四掌をして、それでもかわしきれなくて、だからといって回天や木壁は使えなくて。
景色隠れを使ったとしても、ネジにターゲットが集中してしまう。
悩んでいたそのとき、ネジの後ろからクナイがきて、ネジは即座にかわしきった。
・・・はずだった。
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