籠の鳥と

□それならいっそのこと、運命に任せよう
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「赤い糸って知ってる?」



修業中突然彼女に言われた言葉の意味がオレには全く分からなかった。

「・・・なんだそれは」

「え?ネジ知らないの!?見えないんだけど運命の相手と結ばれてるっていうの」

「・・・興味ない」

以前〈運命なんて誰かが決めるもんじゃない〉と言った通りそんなものは存在しないと思っていた。

「まぁ…ネジならそういうと思ったけどー…ねぇ、賭けない?」

「何をだ」


にっこりといつものように笑いながら言った。


「私がもし、ネジに会うことが出来なくなって…それでもまた会うことが出来たら、信じる?」


何を言い出すと思えば・・・


「…くだらない、ありえないことを言うな」

それにこいつと別に付き合っているわけでもなく、好きでもない。

何故そんなことをわざわざ言われなきゃならないのか全く理解不能だった。

「そういうと思ったー。…でも、ひとつくらいあってもいいじゃない?」

「・・・さぁな」


このときはまだ、


それが形になるとは思わなかった。

****

それから数日後、いつもの演習場に彼女の姿はなかった。


別に気に求めたりはしなかった、が。

何日も、何週間もたっても現れないとなるとさすがに心配になった。

何かあったのだろうか?

そう思い彼女の同期であるヒナタ様に聞いてみると・・・



「ネジ兄さん、知らなかったんだ・・・」



ヒナタ様の話では、彼女は砂隠れに引っ越していったらしい。

形にならないと思っていたのに

形になってしまった。

好きではないはずなのに。

何故か頬を伝う熱いものが


嗚呼でももう遅い。


後悔ばかりがオレを襲った。




しかし、運命の赤い糸というのかは知らない何かが、

またオレと彼女を引き寄せる。


****

二年後、とある任務で風の国に出かけた。

そのときもオレはあいつの姿を探していて。

「ネジまだあの子を探してるの?」

テンテンの言葉にも素直に頷くネジ。

会いたい。

会いたいんだ、お前に。


『私がもし、ネジに会うことが出来なくなって…それでもまた会うことが出来たら、信じる?』


賭けてみたいんだ、お前のいう運命の赤い糸とやらに。


いっそのことそんな曖昧なものに身を任せたいんだ。


「探してきたらいいのにー」

「探したいが…任務中だろう」

任務遂行が第一だ。

しかし、そんなもの


「行けばいいじゃないかぁネジ!」

この班には無関係だった。

ガイの言葉に呆れてしまう。

「いやしかし……任務だろ「オレがゆるーす!!」


嗚呼、もう・・・覚悟を決めた。


「行ってくる・・・!」


そしてネジはすぐに走り出した。

「どうしてネジはあんなに消極的なんですかね」

「さぁ?でも、もう後悔はネジもしたくないでしょ」

「これも青春だ!」

ガイ、リーとテンテンが笑いながらネジの後ろ姿を見送った。


****

見渡しても見渡してもあいつらしき面影のある女はどこにもいない。

どこかの施設で働いているのだろうか?そう思い人に彼女の名前を尋ねてみた。

しかし・・・事態は思わぬ方向に行く。


「それなら私の受け持つ患者だわ」

「・・・は?」


嘘だと思い病室などを聞き病院に向かう。


形になった何かが最終的に・・・

一体、何になってしまうのだろう・・・?

いや、消えてしまうのかもしれない。


「・・・何故・・・?」

「…ネジ」

そこには痩せてしまった彼女がいた。

「お前…何故…!」

「私ね、二年前に引っ越した理由…病気だったからなんだ。治らないかもしれないけど生きていたかった、ネジに…〈赤い糸〉を信じさせたかった」

「・・・!」

〈赤い糸〉

それが本当に存在するのなら



「また会えたね。どう、信じる?」


もういっそのこと、


「ああ、信じるよ」




運命に任せよう。




****

〈100通りの愛〉様に提出します。

ここまで読んでくださりありがとうございます。
 

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