Middledream
□氷解させる愛〜第五話
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再び失った運命の人
あの日胸を引き裂かれるようなくらいの
同じ痛みがまたオレを襲った
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ただうつろに彼女の名前を呼んでいたネジ。
そのとき・・・ふとあるものが目に入った。
そのときだ。
「ネジ!大変なの、あたしたちが今まで張ってたシュガは影武者だったの・・・ってネジあんたどうしたのよ!?聖奈は!?」
テンテンは驚きながらネジの変わり様に目を疑った。
ここにいるのは本当に、いつも堂々として自分に自信を持つあの日向 ネジなのか。
今のネジを見るととてもそうは思えなかった。
ただネジは、屈み込んで何かを拾い上げていた。
「これは・・・」
それは…聖奈が持っていたのか、それとも・・・目の前にあった墓から飛んできたのかはわからないが写真があった。
静かにネジは拾い上げた・・・
そこには、微笑みながら女の赤子を抱く黒髪の幼い少年と、その少年の頭に手を置いている母親と父親。
そして白い肌の赤子を抱く父親がいた。
それはネジがよく知っている人で・・・
「父・・・上・・・?」
それはネジの父、ヒザシだった。
写真を裏返すとそこには確かに『白1歳、ネジ、聖奈0歳』と確かに、書かれていた。
「!…ネジ…アンタ…!」
ネジの頬を雫がつたって
写真に雫がぽつりぽつりと落ちる。
小さな、小さな声で言った。
「何度もここに来てから…本当に彼女は聖奈なのか何度も疑った…名前が偶然一緒なのかもしれない、従兄の名前も聖奈の名前も・・・やっと確信できた・・・!」
何年間も話しをしたかった聖奈。
その暖かい身体に触れたかった。
ずっとずっとずっと。
君の為に生きてきた。
だから伝えなければいけない。
オレの気持ちを・・・彼女に。
「ネジ、行くわよ」
「あぁ」
そして二人は走り出した。