日向の

□婚約
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その日の日向宗家はあわただしかった。

そしてこの日をオレとヒナタ様は待ち望んでいた。

そう、ヒナタ様とオレの婚約の儀である。

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正装に身を包んだオレとヒナタ様は会場にいた。

既にふたりの同期たちが席に着き祝いの言葉をかけてくる。

その際、歩いているとふとヒナタ様がオレの服の裾を小さく引っ張っていることに気づいて立ち止まった。

「どうした?ヒナタ様」

「なんか…恥ずかしいな…って」

顔を赤らめ微笑む彼女を可愛いと思いながら「そうだな」と返事を返すと何故かつられてオレまで恥ずかしくなった。

恥ずかしさは電線すると聞いていたがどうやら正にその通りらしい。

いよいよ本格的に恥ずかしくなってきたオレたちは「照れるなよー」という仲間たち(特にキバ、ナルト)の言葉を無視して急ぐように、逃げるように挨拶をしていったのだった。
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そしてようやく儀式は始まり、様々な祝辞のなか…ヒアシはおどろくべきことを口にした。

「私は日向 ネジ、ヒナタが結婚をしたあと日向宗家当主をネジに継がせるつもりだ。心しておくように」

ネジは目を見開いて横を見た、どうやらヒナタは知っていたらしい下を向いて俯いている…思わずネジは立ち上がりヒアシに抗議した。

「お待ちくださいヒアシ様!私にその権利はありません!」

焦った声が響く、しかしヒアシは冷静なまま変わることなく、ただ微笑を浮かべていた。

「権利はヒナタと婚約した時点で発生するんだ、ネジ」

しかし…とネジは首を振り小さく呟いた。

「オレは一度ヒナタ様を死に追いやりました…そんなオレが…」

すると横でガタリと立ち上がる音がした、次にネジの腕を引く感覚。

「…ネジ兄さん。私、あのときのことなんてもう気にしてないよ?
だって私は…ネジ兄さんが好きだから…それに辛い思い出は全部…ネジ兄さんのおかげで忘れていたから…」

ヒナタだった、ヒナタのその意外な言葉にネジは驚いていたがふっとニヒルな笑みを浮かべヒナタの頭を優しく撫でた。

「ありがとう…」

それからヒアシにネジは了承の合図として礼をするとヒアシは優しく微笑んだ。
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