日向の
□風の意思
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超えるべき
壁は大きかった
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テマリと付き合いはじめて1週間くらいはすぎただろうか。
シカマル宛てにある一通の招待状が来た。
それは葉書であり宛名の裏を読んだときシカマルは眼を見開いた。
【日向家婚約発表のお知らせ。
日向分家日向 ネジ、日向宗家日向 ヒナタの婚約発表を行います。
親族は勿論、友人の方も是非出席してください。】
「は?あいつら婚約すんのか!?」
…と、シカマルは叫び、ヨシノに「あんた煩いわよ!」と殴られてしまった。
ネジが18でヒナタが17で結婚、その現実はシカマルには少し重く感じた。
「オレとテマリは…無理か」
砂と木ノ葉の、壁、それがシカマルの前に立ちふさがっている錯覚にシカマルは眉間を抑えた。
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数日後、婚約発表会にテマリも呼ばれたらしく木ノ葉の宿に止まっていた。
「よォ」
シカマルが手をあげるとテマリもそれに答えシカマルに近づき言った。
「久しぶりだなシカマル。
2日後だってなネジとヒナタの婚約発表…いつかやるとは思っていたがこんなに早いとはな」
意外か?そうシカマルは思いながら適当に返事を返すと呟いた。
「オレたちは結婚とか出来んのかなぁ…」
「は?」
ヤベェ…本音を言ってしまった…!シカマルはそう心の中で嘆いた。
「ほ、ほらオレは木ノ葉、テマリは砂だろ?」
「そうだな…」
すると寂しそうにテマリも呟き上を見た。
広がるのは少し暗い心とは裏腹に青く澄み渡った空に少し浮かんだ白いふわふわした雲。
それはまるで海のように広く遠くて…自由にそこを飛び回る鳥はシカマルとテマリとは真逆の対照的な印象を連想させた。
少し、静寂が訪れた。