日向の
□僕たちの不器用な始まりは、
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「私は…ナルト君のことが、大好きだから…」
恥ずかしさはなかった
戦地での告白、そんな危ない状況で、
私は、「最初の告白」を思い出した。
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はじめて彼を見つけたのは、確か私が5歳の時だったと思う。
私の傍にいつもいてくれているコウと、一緒に公園に来た時だった。
私は、公園に来るのが初めてで、まず何から遊ぼうかとすごく悩んでいた。
その時、見かけたのがその男の子だった。
ゆらり、ゆらり。
ブランコに、一人で乗った男の子。
その子の周りだけ、人はいない。
「…?」
――友達が、いないのかな?
日向宗家を継ぐために厳しい修業を強いられてきた私に、友達はいなかった。
近しい歳の子は従兄だけで、本当の他人と話す機会は全くなくて。
だから、直観でわかったのかもしれない。
ああ、この子も私と同じなんだって。
…でも、私とその男の子は、明らかに違っていた。
性別の問題ではなくて、もっと抽象的なズレ…彼は、決して寂しそうな表情はしていなかった。
ううん、もしかしたら本当は、すごくすごく、寂しかったのかもしれない。
その子は、一人でブランコを漕ぎながら…空を見上げて笑っていた。
(…あの子と、お話ししてみたい)
そんな感情が、胸の奥から湧き出てきて、私は転ぶことを恐れずに駆け出す。
けど、それはコウによって制された。
「いけません、ヒナタ様」
「…どうして?」
よくわからなかった。
なんでコウは、私がほかの子と話そうとしているのを邪魔するのだろう?
考えても考えても、答えは一つしか出なかった。
「私が…日向宗家の嫡子だから…?」
涙で視界がぼやける、コウの悲しそうな顔が歪んで見える。
コウは、ため息を吐きながら、小声で言った。
「…あの少年とは、関わってはいけないのです」
理由を説明されてもなお、私には理解することが出来なかった。
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それからも、私は公園に行くたびに、一人でブランコを漕いでいるあの少年を見かけた。
コウは、その姿をじっと見つめる私を、いつも心配そうに見ていたけれど、私がただ「見ているだけ」と分かっているからか、何も言わないでいてくれた。
その男の子も、私のことなど全く見てはいなかった。