二羽の鳥が羽ばたいて

□4.変わりゆく何か
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歯車が狂いだした音が聞こえる。

嗚呼、ごめんなさいこれが真実。

あなたなんて大嫌いだ。

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気がつくと初任務から、一年の時が過ぎていた。

ウサギを十羽捕まえる任務や、要人警護、子守…様々な任務をこの一年間でこなし続けた。
しかし、そんな任務に、あたしたちは退屈を感じ出していた。
どれもこれも依頼人にとっては必要な任務、しっかりとこなさなければいけない。

それでも、何かが物足りない。
そう感じ出していたときだった。
先生に、任務以外で呼び出されたのは…。

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「突然だがお前たちを中忍試験に選抜した!」

突然の言葉に、数秒間静寂が続いた。
混乱と動揺で頭が真っ白になる。
一番初めに叫んだのは、リーだった。

「うおぉお!やりましたね!!」
「やったわ─!!」
「・・・やっとか」
「やったぁあ!」
「一年遅らせたからな…長いこと待たせてすまなかった。
では急だが明日!アカデミーの301に志願書にサインして来い!!以上!!」
「本当に急ね…」

テンテンが苦笑いする横で、あたしも頷く。
もっと前からそういう話はして欲しかった。
でも、わがままは言っていられない。
やっと、やっと立派なくノ一になるための二段目の階段に差し掛かることが出来たのだ。

ようやく自分も中忍になるための試験が受けられる…。
舞衣は、少しだけ笑って拳を握り締めた。

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暇だったため、ガイの言葉を聞いてから解散した後も、4人は集まって話をしていた。
リーは1度帰ったので、3人で談笑していたが、すぐに彼は情報を仕入れて帰ってきた。

「オイ…おいおいおい聞いたかよ」
「その口調なに?」
軽く舞衣が、格好つけているリーに突っ込みを入れる。
しかし、リーは準備体操を始め、言葉を続ける。

…つまり、彼女の冷静な突っ込みは華麗に無視されたと言うわけで。
スルーされた舞衣は、少しだけ首を傾げた。

「今度の中忍試験…5年ぶりにルーキーが出てくるって話。さっき此処に来るとき聞こえたんだ」
「まさかぁ!どうせ上忍の意地の張り合いかなんかでしょ…」
クナイを藁人形にあてていくテンテンが言う。
「どうせ潰すために連れてくんじゃない?」
さらに舞衣も気を取り直して、風切の刃を最大に保ちはじめた。

「いや…その内の3人は、あのカカシの部隊っていう話だぜ」
(だからその口調なに?)
と、舞衣は思ったが、どうせまた無視されると思い口を閉じる。
代わりに口を開いたのはネジだった。

「面白いな、それ…」
瞑想をしていた為、黙っていたネジの言葉に、テンテンと舞衣は笑って、同じ言葉を発した。
「「まぁいずれにしてもー」」
「可哀想な話だがな………って舞衣、何をするんだ!」

テンテンがクナイを投げ、舞衣は現象法で作り出した風の刃を、ネジのいる木に向かって飛ばしたのだ。
クナイは的に的中。
刃は木を3本くらい切り倒したため、3人は青ざめながら舞衣を見た。

「怖っ」
「お前はオレを殺す気か!」
「僕のライバルを殺さないでください!」
「まぁまぁ!大丈夫!だって…ネジだし?
ていうかリー、さっきから口調変だよ?」
「ああ、とある人の口調を真似たんですよ」
「とある人?」
「そんな口調の人なんていたかしら?」

テンテンと舞衣が聞くとリーはビシィッと、ネジを指差す。
3人は口を揃え、リーに言った。

「・・・似てない」
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