二羽の鳥が羽ばたいて

□プロローグ
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あなたにとってそれは本当に些細なことで、

本当にちっぽけなことだったでしょう。

でもあたしにはそれが、

全てであり、支えでした。

始まりは最悪だった。

でも、終わりはきっと…。


これは同じ運命を分かち合う、

二羽の鳥の物語。

空を夢みたまま諦めていた鳥の、

再生の物語。

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――あの日のことは忘れられない。
今でも、鮮明に覚えている。

日向と、ある一族の集落を分ける森の中。
雨が降っていたその日、2人は出会った。


その日少年は、一人でその森の中を歩いていた。
さっきまでは降っていなかったのに、急に雨が降り出して、少し早足になったとき、少年は泣いている少女を見つけたのだ。

「…どうした?泣いてるのか?」

思わず声を掛けると、彼女はゆっくり顔をあげた。
綺麗な茶色の髪と眼と、白い肌に浮かぶ×印の痣に、少年は眉をひそめた。
彼に見つめられた少女は、逆に問いかける。


「…だれ?」
「…こっちが聞きたいのだが」
「あたしは──…あなたは…?」
「──だ。何があった?」
「宗家の…兄さんに…恨まれて…──を…つけられた…の…」

少年はそれに目を見開いたが、少しの間のあと、冷静に返事を返した。

「そうか…」

そっけない返事・・・それに苦笑しながら、少女は俯いた。

「運命は…変えられないのよね…どうして分家に生まれたんだろう…」

泣く彼女に彼は、何かを差し出した。
「?」
「…受け取ってくれ。もらいものだし、捨てるに捨てられなくてな」

それは、少年には似つかわしくないピンクの羽のキーホルダーだった。
ふわふわしたそれを、彼女は受け取り、小さく笑う。

「ありがとう…あの、また会えるかな?」
「・・・多分な」



****

それから数年後、成長した彼は中忍試験でそれを見た。

(まさか…そんな…)

見つかった少女は可憐に、しかし自嘲気味に笑う。

「ネジがあたしを救ってくれるの?」

ぐるぐると歯車は回る、もう止まらない。

運命は、動き出した。

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