二羽の鳥が羽ばたいて

□6.修羅に染まりし人
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30分が経ち、戻ってみるとテンテンが待っていた。
しかし、そうすんなりと物事が上手く運ばれることも無く。
情報を交換してからさらに5分、10分…班員全員が揃う事はなかった。

「遅いわね〜リーったら…あいつ時間だけは正確なはず…敵に出くわしたのかな…まさか…」
痺れを切らしたのか、テンテンがイライラしているかのような口調でため息を吐き、それからすぐに表情を曇らせた。
無理もない、好意を抱いている人間が帰ってこないのだ。

しかしどうせあいつのことだ。
戻りがてらに修業でもして遅れているに決まっている。
…しかしそう言える状況でもないのが、今だ。
「…とりあえず、リーを探すぞ」
「うん!」

テンテンは率先して前を行く。
焦っている人間がいると、自分まで少し不安になるのはなぜだろう?
(そういえば…)
そのときネジは、なんとなく思い出していた。
リーがある技を習得した日のことを…。

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『やった──!!
ついに会得できたぞ──!!』
『はしゃぎすぎ。
しかしこの技、結局リーしか体得出来なかったな。おいリー…』

『ウッヒャー!!
やったぞ──!!
やったんだ──!
やっちゃった──!!』
『おい……』

怒りが溜まっていくガイ、そしてついにリーを殴り、言った。

『私の熱いメッセージを聴け!!』
『は…何でしょう?ナウい言葉でお願いします!』

『この技『蓮華』は──これより禁術として扱う』
『!…どういうことですか?』

彼曰く、蓮華は抑制している力を、チャクラで無理矢理解放するものであり、人体の限界に近い力を練り出す危険な術らしい。
だからこの術を使っていいのは…大切な人を守るときだと、ガイは言っていた。


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それから、どのくらい探しただろうか?
ネジは白眼で倒れているリーを見つけた。
リーはケガをしているようで、その様を木の上でテンテンと様子を伺う。

音忍とカカシの部隊の少女、先ほど遭遇したアスマ班の奴らが、戦っているようだった。
しかしどちらとも、もうやられかけている。
その姿を見て、ネジは見下すように言った。

「フン…気に入らないな。
マイナーの音忍風情が…そんな二戦級をいじめて勝利者気取りか」
「…ワラワラとゴキブリみたいに出てきやがって…」
「・・・そこに倒れているおかっぱ君はオレ達のチームの者なんだが…好き勝手やってくれたな。
これ以上やるというのなら、全力でいく」

そういいながら白眼を発動するネジ。
背負われていた舞衣が突然、目を覚ました姿が見えた。

(なんだこのチャクラは…)
それは次に視界に入った者に対しての言葉。
しかし、そう思っていたのもつかの間、突然背中が軽くなった。

下でも、気を失っていたサスケが起き上がっている。
身体中に、不気味な模様を浮かび上がせて。
彼は、言った。
「サクラ…誰だ……お前をそんなにした奴は…」

「舞衣!」
ネジはとっさに呼びかけるが、舞衣はその言葉を聞かない。

いつのまにか下に降りていた彼女は無表情で、しかしどこか憎悪を感じさせる瞳で・・・舞衣は、ドスを攻撃していた。
それはサスケも同じ。
サスケも、ザクを攻撃していた。
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