BL短編

□年下のかれし
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・・・・なんでこの子こんなに不機嫌なんやろ。



『年下のかれし』



部活の時間。
俺らレギュラー陣は順番にコートに入り、打ち合いという練習をしていた。

一方俺の相方財前光くん。
まあ、人生のパートナーでもあるんやけども!
あっ、これ恥ずかしい。

っていやいや。
今そんなこと行っとる場合ちゃう。


その相方さんが、なんでかむっちゃ機嫌悪い。


「ひかる、次ちょっと休憩しよや」


「・・・・おん、」



なんなーん!?

俺なんかしたかーい!?



「・・・あの光。」


「なんすか」



「・・・お腹でも空いた?」


「別に」



「・・・・あの、ぜんざい。
ある・・・で?」



「・・・・後でいただきます。」



光がぜんざいの誘いを断ったー!!


ありえん!
やっぱ今日の光は変や!
なんなん?
なんか泣きそなってきたやん!



「・・・・なあけんやくん、」



「なっ、なんでしょう」



なんやなんや、
やっと口を開いた光にビビる先輩。



「あんな、・・・あんな、

おんぶ、してくれへん?」


「・・・・・・はっ?」



あまりにも予想外すぎる言葉にビビる先輩。
あ、これ2回目?




「・・・きょう、遠山おんぶしとったやろ」



「は?
そーいや昼休みんときしたよーな・・・」



「おれにも、してくれや」



顔真っ赤にした光。
そういやこの子は極度の恥ずかしがりやった。


「・・・・あかんのです?

遠山はよくて、おれがあかんてどーして・・・」


「あーらよっと」



「う、ぎゃあっ!?」



光のほっそい太ももを抱えて、俺の背中に乗せる。
あ、軽い。
こいつチビやしガリやし、不健康すぎや!



「なっ、なんやねん!
するならする言えや!」


「まあまあ、照れんなや光ちゃん」



「うざい!」



最初はぎゃあぎゃあゆうとったものの、
赤ちゃんあやすみたいに揺らしてたら、光も落ち着いてきた。




「・・・・けんやくんの背中、あったかいわ」



「ひかるが冷たすぎなんや」



不機嫌だったんはいつ言い出そうか迷ってたから。
口数少ななってたんは言葉つまってしもたからやんな。

あー、なんちゅう可愛い子なんやろ!




「・・・・けんやくん、ぜんざいくれや」


「・・はい!」



光を背中に乗せて部室まで走る俺は、いつもにも増してスピードスターやった。


(俺の年下のかれしは、女の子なんかよりよっぽど可愛い男の子。)



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