BL短編

□ねえ早く
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「ごっ、ごめん光!
もう変なことせん!
ごめんなさいぃ〜・・」


「・・・・・」


なんやねんこのヘタレ。


『ねえ早く』



謙也くんと付き合いはじめて半年。
男と男が好き合うっちゅーのにやっぱり最初は抵抗があって。
(その不安は今でも消えてないけれども、)


しかも俺は自分の気持ちを他人に伝えるのが苦手なたちで、たぶんこの恋は思春期にありがちな勘違いであって、時間がたてば消えるもんやと思った。


(けんやくんは誰にでも優しすぎや。好きになるんなんか当たり前)



でも気持ちが溢れて、
辛くて、
謙也くんの前で泣いてしもたんや。

そん時謙也くんが俺のこと好きやって言ってくれんかったら・・・・
今の俺達は、ない。



(まあそん頃に比べたら今の俺は幸せやけどなー・・・)



さあ、なんで俺がこんなやきもきしとるかと言うと。



「俺、好きな子のことよく知ってから恋人らしいことしたいんや。

若気の至りとか、アカン。」



「んー・・・
まあ、そーゆう真面目なとこ、いいと思いますけど」


「そやろ?相手の嫌がることしたないねん。」



誇らしそうに語る謙也くんはかっこいいけど、やっぱり俺は・・



「でも、そんなんおもろない」



「ひかる?」



「ちょっとくらいちゅーでもしてみぃや。
ほんまに俺のこと好きなん?」



カマかけてみた。
まあ、本音入り交じっとるけど。



「なっ、なななな・・・・・!」



「何照れとるんですか。」


「やってひかる、ち、ちゅーて・・・・・!」



破廉恥や!
インモラルや!
性少年や!

とか騒いどる。
さっきのかっこいい謙也くんはどこへ?



「・・・あんなあ、けんやくん、」



「あーっ!
あかんなんか恥ずかしい!
そりゃ俺も光とそゆことしたないわけちゃうけど・・・・

って俺何ゆっとるーん!?」



そして冒頭に戻る。
はあ、優しすぎるとこが謙也くんの長所であり短所でもあるけど。
こんなヘタレやとは思わんだわ・・・・!



「けんやくん!」



「・・・・なんでしょうひかるくん・・」




むちゅっ





キスしてやった。
キスってかほんまにちゅーやな。





「・・・・・・っきゃー!!」




「こんくらいで騒ぐなや年上やろ」



「やって、やって、今ひかる・・・俺にキスしよった・・・!」



「ええやん、したかったんやもん」



「・・・・俺もしたかったけど、最初は俺からしたかった・・・」



「・・・っ、けんやくんのくせにかっこいいこと言うなや」



ちょっとドキドキするやん。
こゆとこ天然タラシやな・・・



初めては夜景が見えるレストランとか、
もっと顔赤らめろやとか
なんやらゴチャゴチャ言うとるけど。



「まあ、こんな初めてもいいやん?」


「・・・あの。」



「なんやけんやくん」



「もっかいしても、ええ?」



前言撤回。
この人ヘタレちゃう。



*

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