第一部
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鳥の声で目を覚まし、雨戸の隙間から漏れた光が頬をくすぐる。
いつもとなんにも変わらないはずの朝もなんだかとても良い気持ちです。
きっとかし君の笑顔が可愛かったから。5丁目の人たちの言葉がうれしかったから。
そんな些細なことで、世界が変わって見えるなんて、なんて素敵な――
「世界が変わって見えるなら、さっさと起きんか。」
突然開けられた襖に目を向けると蓮華様の冷めた表情がみえた。
「ひどいです。折角詩人気分を味わっていたのに。」
ぱたりと閉められた襖の外からため息が聞こえたので布団をでた。