文の頂き物

□2周年お祝い小説
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目の前の奴から筆箱がおちる。どうやら気づかなかったらしい。
それをひろいあげて、そいつのあとをおった。急いでいるのか、凄く早く歩いていく。軽くため息をついて、走り出す。

「ちょっと待てよ」

うでを掴んでひきとめる。こちらを睨みつける。

「筆箱、落としたぜ・・・」

驚いた表情をうかべて、こちらと手元を見比べる。それを受け取らせたが、礼も言わずに背を向けたのはさすがにムッとした。

「礼も言わないのな」
「頼んでおらぬ」

初めて聞いた声はやけに冷めていた。うでを掴んで無理やり自分の方を向かせた。

「確かに頼まれてねーよ。でも、それなりの態度ってもんがあるんじゃねーの?」
「これが我なりの態度だ」
「マナーがなってねーだろ」
「他人を気遣っている余裕など我にはない」
頭にきて怒鳴ろうとしたとたん、コイツの眼と目が合った。悲しげで寂しげで。素直になれない子供。そんなイメージを持った。

「元親ー、行くぜー?」
「あ、ああ」

名を呼ばれ、背を向ける。再び、顔を向けて。

「またな」

そう言ってダチの所に走った。


きっとコイツとは長い付き合いになる。
そう感じた。


    END

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