シリアス長編創作
□姿を求めて
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シオンが研究院に行ったと聞いて急いでやって来たディアーナ。
しかし、そこはすでに彼の立ち去った後だった。
「シオン様でしたら先程お帰りになられましたよ。」
「そう…ですの…。」
キールの言葉に項垂れ、俯いてしまうディアーナ。
そこで彼は軽く片眉を上げて溜め息とともに尋ねた。
「いったいどうなさったんですか?」
「…よく…分かりませんの。」
ディアーナはドレスの裾を握りしめてぽつりと行った。
「わたくし…シオンに嫌われてしまったみたいなんですの…。」
「それはないと思いますが…。」
「だって、そうとしか思えないんですもの…。」
「………。」
それはないと、キールには言い切れた。いかにそういう事に関心が無くともシオンがどれだけディアーナを大事にしているかは十分に分かっていた。
…いや、むしろ大事にしているから、だろうか。
(…その気持ちは分からないでもないんだがな)
キールがもう一人の少女に抱く気持ちも似たようなものだったからだ。
「大丈夫ですよ姫。今度会ったら俺からもシオン様に言っておきますから。」
キールはそう言って、沈み込むディアーナを城へと返したのだった。