お題&テーマ創作

□カップリング創作好きに100の御題
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Boy meets Girl

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「おぬしが『紅丸』か」
ちらりと視線だけをやると、見るからに幼い少女が立っていた。
強い意志が滲むような瞳。
まるで挑むようにこちらを見ていた。
これが新しい巫女姫か、と、感想はそれだけだった。
名乗りをあげる少女の様は強気で凛としていたが、それでいて、その目の奥には微かに怯えのようなものも混じっていて。
しかしその事を気取られまいと胸をはる、小さな少女。
なるほど、これなら退屈はしないかもしれない。
日野平との約定。千の妖を屠る事。
恐らくこの巫女で最後か、その次でか。
どちらにしろ、もう長くは無い。
どうせならこの巫女で最後にしてやろうと、そう思った。
…それが最初の…出会いだった。





己の前で揺れる長い髪を見やる。
巫女の装束を着こなし、颯爽と歩く少女の後ろ姿。
ふと昔のことに意識を向ければ、あの頃よりも随分背が伸びたものだと思う。
年を重ね、彼女ももう十と六。
既に子供と呼べる年齢ではない。
体ばかりは大きくなったものだが、中身はどうかと言うとまだまだ幼い甘さが目立つ。
…そんな思案のうちにも進んでいく後ろ姿。
そういえば、昔はよくこちらを振り返ってきたものだった。
どこか気遣わしげに、何度も何度も。
だが今はそんなことはない。
何を気にするでもなく、前を向いて歩いていく。
「…………………」
こちらを気にすることも無く。
ただ、前だけを見て―――……。







「…紅丸?」
葵はふと、何かを感じて後ろを振り返った。
そこには始めて会った時から姿変わらぬ、己の式。
いつもと変わらないように見えるのに、何かが引っかかる。
しかし実際、何がどうと言うわけではない。
その力ある瞳だけが、ただ葵を見ていた。
「どうかしたのか」
問う声に、返事は返らなかった。
二人の間を、静かな風が吹き抜ける。
約束の、千まで…あとほんのわずか。
…この契約が切れる日も、すぐそこだった。




〜Fin〜









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A boy meets a girl.

…英語だけど、瞬間的に紅丸と葵さんが浮かびました・笑
いいなぁ、ずっと側にいる存在って…v
まだちゃんと攻略しきってないので変だったらごめんなさい〜
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