シリアス長編創作
□姿を求めて
1ページ/3ページ
…ディアーナは、シオンを探していた。
あの日から、彼とはまともに会っていない。
いつ行ってもシオンの姿は執務室に無く、たまに見かけても忙しそうに他の人と話している。
声をかけると忙しいからと言われてしまう。
表面上はいつもと変わらない笑顔。その仕種。
…でも、決して自分と目を合わせようとしてくれないのだ。彼は。
(…どうして…)
自分は何か彼の気に障るようなことをしたのだろうか。あの事件の事だったら言ってくれればいいのに。叱ってくれればいいのに。
…ごめんなさいを言う暇も無い。
徹底的に避けられているのだから。
いくらディアーナでもそれは分かった。
―完全に避けられている。
彼は、朝はディアーナが起きるよりも早く、そして夜はディアーナが休まないといけない頃になってから戻ってくるようだった。
(…何でですの?)
いつでも遠慮なく触れてきた手が見詰めてきた瞳が側にいない。
寂しいと思った。
自分は嫌われてしまったのだろうか。
それは嫌だった。
だって自分はシオンのことが大好きなのだから。
(訊いてみましょう。それで、怒っているなら謝って許してもらいましょう)
そう思い、今日もディアーナは彼を探していた。