シリアス長編創作

□切っ先の生む切っ掛け
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ディアーナはうっすらと目を開けた。

まず目に入ったのは見慣れた自分のベッドの天蓋。

 しかし、彼女にはどうして自分がここにいるのか理解する事が出来なかった。



「……?」



…眠った覚えは無い。

しかも今はどう見ても昼間。こんな時間に眠りについているはずが無いのである。

何やらぼうっとする意識をしっかりさせようと頭を振った途端、ずきんと鈍い痛みが走った。



「…姫様! お気づかれましたか?」


女官の声に、ディアーナはひどく緩慢な動きで視線を移動させた。

見ると幾人もの女官達が心配そうに彼女の寝台の側に控えていた。

「…わたくし…?」

「どこか、痛む所はおありですか?」

「頭が少し…。でも大丈夫よ。」


ディアーナの答えに女官の何人かが眉を顰め軽く顔を見合わせる。

何かを責めるような、咎めたてるようなそんな表情で。


「――?」


まったく状況が掴めず不思議そうにしている彼女に、一番年長の女官がそっと声をかけた。


「お起きになられますか?」

「ええ、大丈夫…。」

「それではご用意が出来ておりますから、どうぞ湯殿をお使いくださいませ。」






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