短編創作

□Lead
1ページ/3ページ

王宮のある一室からは流れるような舞踏曲が聞こえてくる。

その優雅な音楽に乗せて、翻るのは輝く金の髪。

その麗しい情景とは裏腹に、厳しい声もまた、飛んでいた。





「1,2,3、1,2,3、…はい、そこで左に!」

慌てて急かされるようにくるっとターン。言われたように動くので精一杯、といった感じで。

「常ににこやかに、ですわ。にこやかに。」

そう言われてシルフィスは内心で泣きたくなった。

…あまり無理は言わないで欲しい。

この状況で、そう思ったとして誰が彼女を責められようか。

しかし、例えどんなに投げ出したいと思っていても、言われたとおりに必死に笑顔を作るところがシルフィスである。

「…はい、そこまで。それでは一旦休憩にいたしましょうか。」

音楽が止む。ようやくその場に留まる事を許されて、彼女は座り込みそうになるのを辛うじて抑えた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ