短編創作
□Lead
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王宮のある一室からは流れるような舞踏曲が聞こえてくる。
その優雅な音楽に乗せて、翻るのは輝く金の髪。
その麗しい情景とは裏腹に、厳しい声もまた、飛んでいた。
「1,2,3、1,2,3、…はい、そこで左に!」
慌てて急かされるようにくるっとターン。言われたように動くので精一杯、といった感じで。
「常ににこやかに、ですわ。にこやかに。」
そう言われてシルフィスは内心で泣きたくなった。
…あまり無理は言わないで欲しい。
この状況で、そう思ったとして誰が彼女を責められようか。
しかし、例えどんなに投げ出したいと思っていても、言われたとおりに必死に笑顔を作るところがシルフィスである。
「…はい、そこまで。それでは一旦休憩にいたしましょうか。」
音楽が止む。ようやくその場に留まる事を許されて、彼女は座り込みそうになるのを辛うじて抑えた。