短編創作

□Propheta
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「姫。」
「はいですわ。」

「お気を付けなさいませ。今日出会う方とは決して結ばれないと出ておりますよ。」

「……え。」

イーリスに言われた言葉に、ディアーナは目の前が真っ暗になった。





(ど、どうしましょう…)

ディアーナは青くなってふらふらと大通りを歩いていた。

(今日、お会いする方とは決して結ばれないなんて…)

そう言われて彼女の脳裏に浮かんだのは、兄の親友で傲岸不遜の蒼の魔導士。

すぐ人をからかうし、不真面目だし、意地悪だ。

しかし…。

(ううううううう…)

好きなのだから仕方が無い。

(こ、これはなんとしても今日一日シオンに会わないようにしなくてはなりませんわ…)

幸いにして、本日まだ彼とは会っていない。ディアーナは拳を握り締めて決意した。

「…あら…?」

ふと視線を投じると、路地の隅に占い師らしき姿。

「……。」

ディアーナは少し考えると路地の中に入っていった。

「占ってくださいな。」

(占いは当たるも八卦当たらぬも八卦と聞きましたわ。もしかして違った結果が出るかも)

やはり、いくらなんでも彼とまる一日会わないのは難しいし、淋しいのだ。




「…お嬢さん。あなた、今日が運命の転機というやつだね。」

「……は?」

「気を付けて行動しなさい。今日の行動如何でこれからの人生決まるだろうからね。」

「………。」

ディアーナの顔からさーっと血の気がひいた。

(決定打ですわ…っ)

よろよろと立ち去るディアーナと入れ替えに数人の少女達が路地に入ってくる。

「早く行こ!」

「当たるんだよね、ここ。」

「ほんと? うわー、いいこと言われるといいね。」

そんな会話がディアーナに更なる追い討ちをかけているとも知らずに、少女達は楽しそうにはしゃいでいた。

(どっ、ど、どうしましよう…)

更に深刻になった事態に彼女は泣きそうになる。

(絶対、ぜーったい!何としてもシオンに会うわけにはいきませんわ!!)
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