はじまり
さよなら を
言うまでは傍にいて
手を繋いでいて。
毎晩降らせる愛情の雨も
額へのキスも
囁く声も要らないから。
ここにいるという確証と
一人ではないという証を
この体に焼きつけてくれるだけで
満たされた日々はあったんだ。
いつか永遠というものが訪れたなら
別れではなく。
愛している と
無数の言葉ではなく
思いで届けて。
その体温を欲しているのは
冷めた心ではなく。
偏愛は虚ろな月に
傍にいてくれと唱える呪文
――On the moon
where partiality
is vacant.
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