The turn of the star


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「俺はお前が好きだ」

 勢いのまま抱き寄せた希美の耳元で、囁くように智和は言った。
 それから直ぐ様身体を離し、肩をぐっと掴み、目を見つめて言葉を続ける。

「初めてお前の心を傷つけた日、あの時から少しずつ惹かれていたんだと思う」

 言葉を選ぶように話す智和の口調は真剣で、希美は目が反らせない。
 それ以前に、先程囁かれた智和の言葉のせいで、希美の頭の中は真っ白だった。



「実はな、見てしまったんだ。この間、ここでお前が告白されているところを」
「え……?」
「盗み聞きなんて、失礼なことをしたのは悪かった。だがそれでようやく気付いた。お前を誰にも渡したくないと、側にいて欲しいと」

 ぐっと希美の手を握り、智和は真摯な眼差しで真っ直ぐに想いをぶつけてくる。

「好きだ、希美。たとえお前が誰か別の男に心を奪われていようとも、俺の心はお前だけを見ている」

 真っ向から向けられる、その瞳の奥の熱いまでの光に、希美の心が震えた。
 そして、胸に浮かんだたった一つの想いを彼に伝える。

「私も……、私も、智和さんのことが好きです――――」





 それは、希美の精一杯の言葉だった。
 一番伝えたい想いを、一番響く言葉で相手に届ける。
 それがどんなにありふれた言葉でも、そのたった二文字しか希美の頭には浮かばなかった。

「初めて会った時は何て態度の悪い人だと思いました。でも、いつの間にか自然と目が引き寄せられていくようになったんです」

 一度ゆっくり瞬いた希美。驚愕に見開かれた智和の表情にくすりと笑みが浮かぶ。

「初めてでした。こんなに胸がドキドキするのも、頬が熱くなるのも。その人のことしか考えられなくなるのも」

 捕られた手をきゅっと握り返し、希美は歓喜の涙に濡れた瞳で柔らかに微笑む。

「――――大好きです、智和さん」


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