The turn of the star


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「それでは、メリークリスマース!」

 雅紀の高らかな掛け声が店内に響き渡る。
 続くようにグラスのかち合う音と「メリークリスマス!」の声が上がり、パーティーは始まった。

 去年は、オーナー家族三人と希美達三人の六人だったクリスマスパーティーは、今年は喫茶店のオーナー家族三名、希美達の三人、そして従業員一名で計七人。

 一人増えただけではあるが、飲める仲間が増えたせいか、序盤から雅紀は上機嫌にシャンパングラスを傾けていた。

「もう、あんなに飲んで」

 そんな兄を端から眺めていた咲が、呆れた顔をする。その声に「仕方無いわよ。今年は智和くんが居るんだから」と、桑原兄妹の母が苦笑しながら答えた。

 今までは飲酒できるのが母しかいなかったため、アルコールは控えていた雅紀。だが、今年は智和がいる。よって、雅紀の手がおのずとシャンパンやワインに伸びるのは仕方のないことだった。

「だからって羽目を外しすぎだわ」

 少しむすりとした表情で呟く咲。その表情に彼女の母を始め、希美達はくすりと微笑みを浮かべた。





「で、希美。いつ告白する気なの?」

 辺りの騒ぎに紛れ、こそこそと耳元で囁いてくる正美。
 その言葉に、希美は口に含んでいたジュースを吹き出しかけた。

「な、何言い出すのよ、いきなり」

 何とか惨事になることは避けられたが、まだ危機は去っていない。

 今日彼に告白することは誰にも教えていない。……はずなのだが。

「だって、今日告白する気なんでしょ?あんたの考えてることなんて全てお見通しよ」

 「何年付き合いがあると思ってるの?」と不適な笑みで言われ、希美は項垂れた。

「そ、そんな……」

 確かに告白する決断ができたのは彼女のおかげなのだが、出来ればこの事は誰にも知られたくなかった。するとそこへ。

「二人だけで何の話?私も聞きたいわ」

 そう言いながら入ってきたのは親友の声。

「咲!?」

 余りに突然の彼女の登場に希美は飛び上がる程驚いた。
 まさか先程の会話は聞かれてはいないだろうかと心配になる。
 だが、首を傾げる彼女の様子からは、それは無いようだった。
 希美は内心ほっと胸を撫で下ろす。だがそれも束の間。

「あのね、実は今日この子」

 希美の隣から顔を出した正美が咲に告白のことを話そうとする。

「ちょ、言いふらさないでよっ」

 希美は真っ赤になって正美の口を塞いだ。

 その様子をじっと智和が見ていたのを、希美は気付いていなかった。



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