The turn of the star
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「ふーん、それで?ちゃんと断ったんでしょ?」
少し冷めてしまった紅茶を喉に流し込みながら、正美は目の前の幼馴染みを見る。
どこか浮かない表情をした彼女は、膝を抱えたまま「断ったよ」と小さく呟いた。
「なら良いじゃない」
そう言って、正美はカップの中の紅茶の残りを飲み干した。
ここは希美の部屋。
夕方急に彼女からメールが届き「相談したいことがある」と言われ、正美は夜分遅くにそこを訪れた。
相談の内容は「隣のクラスの男子に告白された」だった。
いつもなら、そんなことくらいで相談したいなんて言ってこない希美だが、今回はその断った理由が重要だった。
希美が何を相談したいのか大体は解っている。だから正美は直球で問いただしてやった。
「ねぇ希美。あんたさ、正直あの人のことどう思ってるの?」
真剣な眼差しで希美を見る。すると希美は、仄かに頬を染め「好き、なんだと思う」とぽそりと溢した。
「思うって、確かじゃないの?」
「…………解んない」
益々頬を赤らめた幼馴染みに、正美は呆れたように息を吐いた。
どう見ても彼女はあの青年に惹かれている。そう正美は思っている。弟や彼女の親友もそうだ。
気付いていないのは本人とあの青年だけ。
まぁ、今まで誰とも付き合ったことのない彼女だから、人を好きになる気持ちがどんなものか解らないのかもしれない。
「なら、じっくり考えてみるといいわ」
諭すような口調で言うと、幼馴染みの少女はゆっくりと頷いた。
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